『モンスターボールPlus』が、親子の間にもたらしたもの。[ポケモンLet’s Go!]


mbp01

 不自由の中の自由は美しい。
 クリエイターは〆切があるからこそ作品を完成させられる。人は寿命があるからこそ懸命に生きる。満腹になるからこそおいしいものを食べたくなる。また会えるかわからないからこそ出会いを大切にする。
 ゲームだって、マスターアップ期限やハードのスペックという制約があるからこそ、その限界に挑戦した名作ソフトがたくさん生まれてきた。
 不自由とは、関わっているあいだは当然「いやだなあ、邪魔だなあ、こんなもんなくなったらいいのに」と思うものだが、じつはそれこそが人を豊かにするのかもしれない。

 『モンスターボールPlus』は、端的に言えば、そういうモノだった。
 

mbp02

 はっきり言うが、モンスターボールPlusは不便だ。
 『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ & Let’s Go! イーブイ』の専用コントローラーとして考えたとき、単品で約6,000円もするくせに、ゲームプレイがなにひとつ快適にならない。

 球体であり、そもそもコントローラーとして適した形状ではない。手の中ですべることもよくある。購入後、4歳の我が子にまず聞かれたのが「これ、どうやってもつの?」だった。確かにこれは、どうやって持つのかわからない。「こうじゃない?ここに指を通して、こっちに向けて……」と一緒にやってあげなければならない。
 ゲームを始めてみると、ボタン数が極端に少ないことに気づく。アナログスティックと、いわゆるAボタン・Bボタンしかない。スティックの押し込みがAボタン(決定)に対応するため、誤操作が多い。「たたかう」を選ぶつもりが隣の「ポケモン」を選んでしまう、みたいなことがよく起きる。そのたびに子どもは「あ、まちがえちゃった」と言い、協力プレイをするぼくは「いいよいいよ、いっぺん戻ってみな」と言う。なんなら、誤操作なしで済んだ日には「きょう、じょうずにうごかせたでしょ。えらい?」「うん、上手!間違えなかったね!めっちゃえらい!」みたいな会話が生まれてしまうほど、誤操作しやすい。
 ポケモンを捕まえるためにボールを投げる動作をするときも、Joy-Conのほうが圧倒的に投げやすい。モンスターボールPlusは球体なので、コントローラーとしての前後左右がよくわからない。どの向きに振ればどの向きに飛ぶのかピンとこない。で、失投が増える。モンスターボールがどんどん減る。「あっ、ヤバい!モンスターボールがあと4個しかない。せーの、でこうやって投げようね」「こう?」「うーん、この向きのほうがいいかな。こう持って、こう。できる?」「うん、できる!じゃあいくよ、せーの!」「あっ、待って待って!」みたいなことがめっちゃある。

 「実際にモンスターボールを投げてる感」があることと、捕まえたあとの振動や音がリアルなので「いまこの中にホントにピカチュウが入った!」みたいな感覚が得られ、「ポケモン世界への没入感」が高まることは認めるが、それだけだ。
 Joy-Conに比べ不便すぎて、ぼくと子どもはいつもああだこうだ言いながら試行錯誤している。そのせいでプレイ中は会話やボディランゲージが途切れることがない。

 そう。ここなのだ。

 モンスターボールPlusは、その不自由さゆえに、コミュニケーションを爆発的に促進する。「こうすればうまくできるかも」「ここは一緒にやってみよう」「上手にできた!すごい!」を量産する。
 単に不自由なだけであればすぐ飽きるが、球体コントローラーの新鮮さと先述の「ポケモン世界への没入感」があるので、文句を言いつつもしばらく触ってみて、そのうちに不自由の中の自由に気づくことができる。そして、たくさんの会話と、手取り足取りと、達成感や「つながり」を得ていくことができる。

 これを、どう思うか。この「不自由の中の自由」に、6,000円を払う価値があると感じるかどうか。
 親子や兄弟やカップルがモンスターボールPlusを『ピカブイ』コントローラーとして買うならば、判断基準はこの一点に集約されると思う。

 あなたはどう思いますか。
 ぼくは、この体験をしたいま、8,000円くらいでもよかったんじゃないか、と思っています。
 

mbp03

 余談だが、モンスターボールPlusは『ポケモンGO』とも連動でき、持ち歩けばポケストップのオートスピンやポケモン捕獲に使える。
 しかし、ぼくはポケモンGO Plusを持っているので、それよりデカくて重いモンスターボールPlusをあえて持ち運ぶ意味は薄い。充電も兼ねて、家に置いておくのが吉だ。

「パパ、モンスターボールもっていかないの?」
「こっち(ポケモンGO Plus)があるからいいかな」
「ええー!イーブイつれていきたいー!」
「うーん、でもなー、きょうは荷物少なめで出かけたいんだよなー」
「じゃあ、わたしのリュックにつけてあげるから!ほら!」
「えっ、ありがとう!いいの?」
「いいの!ポケモンがでたら、パパにおしえてあげるからね!ここのボタンおすんだよ!」

 いちいちそんな会話をかわして家を出るんだから、モンスターボールPlusはつくづく不便だな、と思う。
 まったくもって、困ったアイテムだ。この不便さ、しばらく手放したくない。



コメント

  1. 名無しのゲーマー より:

    目の付けどころがホントに良いですよね。
    ふつーに和みました。
    (´ω`)

  2. 名無しのゲーマー より:

    息子さんが欲しいです(´;ω;`)ブワッ

    私のモンスターボールプラスはミュウを受け取ったらただの万歩計になりました。

  3. 名無しのゲーマー より:

    それでも不便と思う人は苦情出しちゃったりするんだろうなぁ
    それが間違ってるとまでは言わないけれども

    少しでもその作品の価値に気付いてくれる人がいるならば、それは製作者冥利に尽きるだろうな

  4. 名無しのゲーマー より:

    これ読んで買ってしまった

  5. 名無しのゲーマー より:

    何と言うか素敵な無駄って感じですね。遊び心を持つ素敵さはお子さんにも伝わってるでしょう。

  6. 名無しのゲーマー より:

    文才あるねえ

タイトルとURLをコピーしました