春といえば、野球シーズン開幕の季節!
『ブルーアーカイブ』でも、野球にスポットが当たる日がやってきた!
2025/03/26(水)~2025/04/09(水)の約2週間、野球をテーマにした期間限定イベント『プレイボール!~目指せ!満塁ホームラン~』が開催中!
そろそろ終わり際なので、ストーリーをすべて読み終わったという人も多いだろう。
話の大筋は、「とある社会人野球の試合で、一方のチームが謎の人物から『バントをしろ。さもないと……』というような脅迫を受けてしまう。試合をどうにか正常に成立させつつ、犯人を見つけるために先生(プレイヤー)たちが裏で動き……」みたいな感じ。
おそらく翻訳の都合などで、野球をちゃんと知っている人が読むとちょこちょこ変な描写はあったのだが、全体的にはかなりおもしろい。今後の野球ネタにも期待が持てそうな内容だった。
ただ、それゆえに気になったのが……
これ、細かい野球ネタや、野球を知っていると気づける伏線がけっこうあるな……
ぼくはわかるけど、野球をあまり知らない人は見逃しているおもしろさがいくつかあるのでは……?
そこで今回は、このイベントに登場した、野球をあまり知らない人には微妙にわかりづらい小ネタを、ぼくが気づいた範囲で一気にまとめて大紹介だ!
■企業試合(社会人野球)
この話では、コーギー電子の実業団『コーギー・ブレーブス』と、鐘崎港を拠点とする商会の実業団『アビシニアン・レイダース』の企業試合が描かれる。いわゆる社会人野球。
じつは、社会人野球が活発なのは世界中でほぼ日本だけ。独立リーグなら韓国などでも盛んだが、独立リーグと同じくらい、あるいはそれ以上に社会人野球が盛り上がっているのは日本しかない。
ブルアカ全体のつくりがそうであるように、このイベントも日本を強くイメージしながら作られたものであることがわかる。
■写真タイム
試合開始前などに、球場の大型ビジョンと球場内カメラを用いて行われるプチイベント。ランダムに観客を映し、映された観客は驚いたりポーズを決めたりする。
テレビの野球中継ではあまり観る機会がないが、球場に行くと必ずと言っていいほどあるし、自分が映されるかもとドキドキする。とりあえず座り直したり前髪を整えたりする。
■出塁したらバントだ
謎の声がブレーブスの監督を「出塁したらバントだ。絶対だぞ」と脅す。
「八百長をさせようとしている?」という想像が真っ先に来るが、野球を知っている人だとここで早くも「なんか変だな」と気づく。
この指示が八百長絡みだとしたら、「犯人はブレーブス側にバントを指示し、レイダース側に『ブレーブスはバントしてくるぞ』と伝えることで併殺(ゲッツ―)を取らせ、ブレーブスを負けさせようとしている」と考えるのが妥当だが、いちいち2チームに指示を出さなければいけないのは手間がかかるし不確実性が高い。ブレーブスに「三振しろ」とだけ指示を出したほうがよほどよい。
となると、「さては、ブレーブスの采配に不満があって、『俺が監督をやったほうがうまくいく!』みたいな思考をこじらせた厄介ファンだな……?」というのがここでだいたいわかる。
■ブレーブスと専属契約中の犬用ガム工場
おそらく元ネタはロッテ(LOTTE)。日本国内におけるガムのシェア日本一の企業であり、プロ野球チームの千葉ロッテマリーンズを所有する。韓国にも経営基盤があり、日韓共通の超有名企業なので、韓国で開発され日本をメインターゲットとするブルアカがこれを元ネタにするのは納得。
■神聖な球場
「神聖な球場」「神聖なスポーツ」みたいなことを言う人に限ってめちゃめちゃ汚いヤジを飛ばすという観客あるあるがある。たぶん野球以外でもある。
でもレイはそんなこと言わないので安心。
■しょ、勝負は最後までわかりません……から!
そのわりにみんな5点差くらいでリードすると「勝ったなガハハ」とか言い出す。
余裕ぶっこいてトイレついでにビールと唐揚げを買って席に戻ると同点に追いつかれていたりする。
■怒ったファン、興奮したファン、絶望したファン
あっ! こういう感じの人、全員球場で見たことある!
■(上記の観客に対して)――全員、不審人物です。
それはそう。
■私がやった方がマシじゃない!?
野球ファンが「こんにちは」の次に人生でよく言う言葉。
「がんばれ~」くらいの意味しかないと思ってよい。
■2回裏、ついにブレーブスの攻撃です。
序盤も序盤の2回裏で「ついに」なんてふつうは言わないので、レイダースの攻撃が異常に長かったことがわかる。たったひとことだが、芸が細かい。
おそらく、この時点で試合開始から1時間半くらいは経過していそうだ。遠くから観戦に来た人は早くも帰りの交通機関の時間を心配しているはず。イニングの合間に予約変更してそう。
■出塁したら次のバッターはバントだ。必ず成功させろ。
このセリフで、八百長ではなく、純粋にブレーブスを勝たせたいだけの厄介ファンであることが確定する。八百長目的だとしたら、「必ず成功させろ」という指示はありえない。
■野球のお約束
日本では「野球の不文律」、アメリカでは「unwritten rules」などと呼ばれる、明文化はされていないが守るべきとされているもの。暗黙の了解。
破ると故意死球(意図的なデッドボールでケガをさせられる)を受けることもあり、単なるマナーよりはだいぶ厳しい。ルールとマナーの中間くらいの拘束力。
レイが言ったバント関連以外では、「大差でリードしているときは盗塁してはいけない」が有名。
■レイの好きな映画
『マネーボール』のこと。
ビリー・ビーンが、MLBの貧乏球団オークランド・アスレチックスをセイバーメトリクスによって強豪チームにのし上がらせていく物語。原作は書籍で、ぼくはこれを一時期ずっと読んでいた。
■打率17%
レイの「打率1割7分」を「打率17%」と言い直す先生(プレイヤー)。
ふつうそんな言い方はしないので、先生が野球に明るくないことがひとことで伝わるいいセリフ。
■5イニングめまで投げた方がいい/クオリティ・スタート
先発投手は、5イニング(5回まで)を投げ切ると勝ち投手の権利が得られる。その5イニング中に自チームがリードを奪い、そのリードが続いたまま勝った場合は、勝ち投手として勝利記録がつくのだ。なので、「先発投手は最低5イニング投げる」が目安になることが多い。
また、先発投手が6イニング以上を投げて自責点を3以内に抑えた場合は「しっかり試合を作った」と高く評価され、これはクオリティ・スタート(QS)と呼ばれる。勝ち投手としての勝利記録はどんなにいいピッチングをしても味方が打って勝ってくれないとつかないが、QSは投手自身の力でどうにかなる割合が大きいため、有用な評価指標としてよく用いられる。
■ファウル連発で粘ってみるのはどうだ?
意図的にファウルを打って粘る行為は「カット」と呼ばれ、かなり高度な技術。なんならヒットを打つよりも難しいケースもある。
「ファウル連発で粘る」はごく一部の一流打者にしかできない芸当であり、弱小チームであるブレーブスがこれをやるのは非現実的。「監督、采配がうまくないか、そもそも自軍の戦力把握があまりできていなんだろうな……」ということがわかる。
■バントでツーファウルまで粘る
レイが提案し、採用された作戦。
一見すると、ただファウルを狙う監督の案とたいして変わらないように思えるが、バントのほうがバットコントロールがしやすいので意図的なファウルを狙いやすい。
また、それよりも重要なのが、「バントの構えをされると、投手はバントを警戒して投球後に前にダッシュせざるを得ない」ということ。1球ごとの疲労度は通常の比ではない。ここにレイの作戦の真の狙いがある。
■なんなんだよこのチーム!
脅迫事件を起こした憎き犯人の怒りのセリフ。
……なのだが、ノーアウト一、三塁から無得点でそのまま残塁して攻撃終了、はさすがにちょっと「まあ……怒るのもわからんでもないかな……」とちょっと同情してしまう。まあそれも野球のうちではあるのだが、ポケモンで言うと3対1で圧倒的リードから3連続つのドリル命中で負けるくらいのやるせなさがある。
■三塁ベースコーチは、壊れた信号機ときてる!
三塁ベースコーチとは、攻撃側のランナーに走塁の指示を出す人。進塁すべきか止まるべきかを瞬時かつ的確に判断するのが役割。
……なのだが、なんでもかんでも「いけるいける! GO!」と強気に指示してしまうタイプの人がときどきいて、それを「壊れた信号機」と呼ぶ。発祥は1980年代に読売ジャイアンツで三塁ベースコーチを務めていた柴田勲で、まさにそのまま「壊れた信号機」と呼ばれていた。
■代打逆転サヨナラお釣りなし満塁ホームラン
レイが代打で登場し、ちょうど3点差をひっくり返すサヨナラ満塁ホームランを打つという劇的な場面。ちなみに、5-8で負けている状況から満塁ホームランで4点入って9-8というようなピッタリ逆転した状況を「お釣りなし」と呼ぶ。
いわゆるご都合主義ではあるのだが、2001年の日本プロ野球において近鉄バファローズが代打逆転サヨナラお釣りなし満塁優勝決定ホームランというご都合主義の極みみたいな奇跡を起こしているので、文句は言えない。事実は小説より奇なり。
■スミレ、野球は運も大事な要素なんだよ。
野球ファンは「野球はデータ」と「野球は運」の理論を都合よく使い分ける二枚舌で知られる。
最後の最後に先生もだいぶ野球ファンらしくなったな。
コメント
勉強になる……でも野球ファン怖いなぁ!
ノーアウト満塁で無得点の中日。
事実は小説より奇なり。
ずいぶん野球に造詣が深いブログだ……あれ?来るとこ間違えたか??
野球詳しくないから普通に勉強になった
ブログ界のサンキューピッチ
わざわざ社会人野球設定にしたのは翻訳なのか韓国語版からなのか気になるけど、野球イベントでわざわざ社会人野球を取り扱うソシャゲなんてアリス・ギア・アイギスくらいだからなと
どっちも都市対抗野球でコラボしよう
3連つのドリルはいい例えだなー、最悪暴れる
打率って%の方がわかりやすくない?っていまだに思ってるけど外国だと普通に%で数えるのかな?
ほーん・・・
明日はスミレのデカパイ記事かな…
野球だから細かいネタもクスリと笑えて楽しめるけど
もしもゲムぼくさんが野球に詳しくなかったら
監督のタプタプの首筋に興奮するだけだったんじゃなかろうか
>それはそう。
それはそう。
野球小ネタ解説ありがたい。
ところで、このレイって子、ズボン履き忘れてません?
>2001年の日本プロ野球において近鉄バファローズが代打逆転サヨナラお釣りなし満塁優勝決定ホームランというご都合主義の極みみたいな奇跡を起こしているので、文句は言えない。事実は小説より奇なり。
これを現地の球場で見れたのは未だに人生の自慢
歓声の地鳴り凄かったですよ…
勝つことの無いチームを応援し続けるファン達のぶち切れがリアルで良かった
ブレーブス自体が本当にろくなチームじゃないから困るわ
すごく勉強になりました!ありがとう!!
でもちょっと故意死球は野蛮すぎません!?
野球詳しくないから助かる
何となくそういうことかなとは理解してたけど分からなかった部分もあったし、こうやって解説してくれるのはありがたい
>そろそろ終わり際なので、ストーリーをすべて読み終わったという人も多いだろう。
ネタバレ配慮で遅めに出す姿勢えらい
細かい野球ネタは結構拾ってたけど、用語部分でも誤植?が多かったのだけは残念かな。
代打に出てきた選手がバッターボックスではなくマウンドに向かったり、「ツーファウル」という造語だったり…。
これは単純に翻訳担当側の問題かもしれないけどね。
ゲムぼく。さんが珍しく最初から最後までまともなまま解説する記事出してる…
もしかして乗っ取られました?それとも誰かから脅されてたり?
LOTTEは日本にも韓国にもプロチームがあるし応援の熱量も半端ないからな。
解説助かります!
ずいぶん詳しいじゃないか
東京シャードの賜物だな
球団名についてもそれぞれ日韓のプロ野球チームからとってそうな感じ。
ブレーブスは日本プロ野球で1947~1988年に実在した阪急ブレーブス(現:オリックス・バファローズ)から、
レイダースは韓国プロ野球で1990~1999年に実在したサンバンウル・レイダース(1999年に解散)からかな。
なんでこんなに野球詳しいんですか?
野球詳しいのはシンデレラナインの影響ですか?
またえっちな記事かと思ったら違ったけど勉強になった
な、なんだ。ゲムぼく。野球通だなぁ(笑)
贔屓が弱い時期の野球ファン表現が本当に上手くて笑った
?「ノーアウト満塁って意外と点入んないすよね」
その頃海の向こうのブレーブスがえらいことになったのであった
開幕7連敗&チーム打率1割5分&ノーアウト満塁無得点&5点差逆転負けとかなんならこっちより悲惨だったぞ
球場に乱入して審判を叩きのめそうとしないだけファンとしての民度は高いな
ソースははだしのゲン……の作者が書いた広島カープの漫画
ゲムぼく兄貴が真面目な記事を書いている・・・これにはなにか裏があります
野球大好きおじさんなので全ての説明に首がもげるほど頷いた。
そうなんだよ。野球ファンってのは5点リードしたら慢心してウキウキ気分でトイレに行くし、監督がピッチャー交代のタイミングをミスったら「ワシにやらせんかい!」って野次るし、ノーアウト一三塁から無得点で交代になったら「アホか!プロやめてまえ!」って怒鳴る生き物なんだよ。
え、なんで私が阪神ファンだってわかったんです?
ブレッディの記事と同じ知能か?
まだ期限があるから読まなくて大丈夫でここまでズルズル読まずに引っ張ってたけど
ゲムぼくの記事読む為に読んできたから助かった
オチは…オチはどこ…?
最初から最後までやきう民が後方腕組み顔で解説してるだけなのだが!?
用語解説助かる
監督はガム工場を心配する前に自分のチームをどうにかしてくれって思いつつ読んでいた
レイ今後も出番あってほしいなぁ
何と言うか……普段からムチムチムチムチ怖いくらい狂ってるのに、自分の趣味の領域に入ると急に真面目な顔して高速詠唱始めるの、また違った怖さが有りますね……
タツナミソウとおにぎりを取り上げる脅迫、気の話、3番バントと某球団を想起させる描写多くて笑っちゃうんすよね
良い内容だった
野球やってたからそれなりにしってるつもりだったけど知らん話もあったわ
博識ね
はえ〜
知らない事が多かった
野球の不文律めちゃ勉強になる
5点差が5点差を経験すると3点のリードすら同点くらいの感覚になるんですよねぇ…
現実では出塁したらバントしろを厄介ファンでなく監督がやっているの恐怖でしかない
これは生粋の野球オタク
ハチナイやってるから詳しいんですの?
二枚舌でクソ笑ってしまった、野球ファンそういうとこあるよね…
やきぅ民なのでわかるわかるー!!と読みました。
やきうファンの手のひらはいつでもクルックルです。
コメ欄も含めて博識で助かる
なんとなくのルールは知ってたけど、これでまたちょっとだけ人生が豊かになった
漫画「ONEOUTS(ワンナウツ)」の「イカサマドーム」のネタもあってニヤニヤしたオタクです
2回裏先頭の2番打者って話も現実の野球で1回終了時に7-6になった事例があるからありえなくないんだよなぁ…
読んでて面白かった。
私も野球観戦とかしようかな。
どこのチームがオススメですか。
(なんか聞いたら戦争になりそうだけど)
あよかった33-4とかそういうのじゃなくて
最近さファンの間では「出塁したらとりあえずバント」は古い戦術で愚策の類とされることが多い(統計で得点確率・期待値ともにバントしたほうが下がるとされているため)
……が、日本のプロ野球ではまだまだ根強くバントされているのも事実である
その昔「ノーアウトかワンナウトでランナー一三塁になったらスクイズしないとタヒんじゃう病」と揶揄された監督もいたしね
ノーアウト一三塁はワナだよね
F91が入ってたよね
はじめての野球観戦はとりあえず近場がオススメだけど、旅費や工程を無視するなら最近できた一番新しい球場であるエスコンフィールドで日ハム観戦を推すで
うまい飯屋が死ぬほどあるし大谷さんの壁画もある