よし……
前の1試合は開幕直後から一貫して攻めの姿勢を出せたから、相手の闇慈にもそれは印象づいたはず。
とすると、相手プレイヤーを信じるなら……相手は攻め一辺倒を予想して、くるくるカウンター(別名:水月のハコビ)を早々に使ってくる!
来た! くるくるカウンター!
太い太ももをくるくる回転させることでこちらの攻撃を受け流しながら前進してくるやっかいな技だが、予測できていれば対処可能だ!
猛烈ダッシュ!
エルフェルト=ヴァレンタインは太ももが太いのでダッシュが速い! 太ももエクスプレス(別名:甘き夢想の弾丸列車)の異名は伊達じゃない!
カウンターされない投げ技で攻撃だ!
それでは聴いてください!
太ももがこすれ合う音!
ぼくは対戦格闘ゲーム『フットイモモ オトライヴ』(別名:ギルティギア ストライヴ)をプレイしている。
鍛え上げた太い太ももから音を打ち鳴らして戦うむちむちサウンドバトルだ。
プレイし始める前は、格ゲーというのは「格闘」のイメージがどうしても強くて、「血気盛んで好戦的な人が遊ぶゲーム」という印象があった。
ぼくはゲームに限らず仕事やスポーツや日常生活全般においても闘争心がまるでなく、「勝ち負けつけなきゃいけないんだったらぜんぶそっちの勝ちにしていいよ」と思ってしまうほうであり、そこに時間を割くよりは自分が興味のあることを深めたいように深めて知的好奇心を満たすことのほうが圧倒的に好きなので、どう考えても格ゲーに向いていないタイプだと思っていた。
ただ、やってみると、格ゲーは意外とぼくのような「ひとりで黙々と研究するのが好き」みたいな人にもある程度向いていると気づいた。いや、もしかしたら、めちゃくちゃ向いているとすら言ってもいいかもしれない。
多くの人がイメージする格ゲーの楽しみ方とはちょっとズレている自覚はあるが、とても楽しい。
なので、ぜひ提唱したい。
「研究家気質の人こそ、格ゲーをやってみると楽しいぞ!」と。
観測した現象に対して、仮説を立て、データを集め、共通点や傾向を分析し、検証して……というのを、かなり早いサイクルで、しかもほぼ自己完結でやれる。こんなに楽しい遊びはない。
最近だと、ぼくはポチョムキンというキャラに対して苦手意識があるので積極的に挑みまくり、結果的に10連敗くらいしてランクタワー適正階層が10F→8Fに落ちたのだが、これがとても楽しかった。
適正階層はどうせそのうち上がるので気にしなくてよくて、強いポチョムキンのリプレイデータを10件も集められたのがうれしい。しかも、自分自身が「こうしたらどうなるだろう。あ、ダメか。じゃあ次はこれをやってみたらどうなるだろう」と試しながら戦ったものなので、いろんなパターンの試行結果が詰まっているし、記憶にも残っている。
この10連敗のときに意識していたこと、いわば研究テーマは、「ガルダインパクトはどうやったら対処できるのだろう?」だ。
結論としては個人的に納得感ある対処方法が見つかったので、そこに至るまでの一連の流れを紹介していく。
ポチョムキンにはガルダインパクトという必殺技があって、これがとても強い。
まともにくらうとよろけ状態になってしまってやられ放題になるし、ガードしてもガードクラッシュというのけぞり状態になるのでなにもできない。
なにこれ? 手詰まりでは?
とりあえず、たくさん戦ってみる。
難しいことを考えなくても、本気で戦っていれば勝手にサンプルが集まるのが格ゲーのいいところだ。壁際でガルダインパクトされたり、起き上がりにガルダインパクトされたり、ガルダインパクトの後にガルダインパクトされたり、いいデータがどんどん溜まっていく。
当然、苦手な相手と戦いまくっているのでぜんぜん勝てないわけだが、目先の勝利は求めていないのでよしとする。いまはただガルダインパクトをたくさん浴びて苦しみたい。ここだけ読まれると変な人みたいだな。
ある程度データが集まったら、リプレイ再生とトレーニングモードを行ったり来たりして分析を行っていく。
まず、通常の状況で撃たれるガルダインパクトは、リプレイで冷静に見ると技の出始めがだいぶ遅いことがわかった。パンチやキックで妨害したり、ジャンプで避けたりできている例がリプレイを見ただけでも複数あった。これは大丈夫そうだ。
問題は、こちらがダウンしていて、起き上がりに重なる形でガルダインパクトを撃たれたとき。これがかなり厳しい。研究のしがいがありそうだ。
とりあえず、ガードはダメそうだ。立ちガードだろうがしゃがみガードだろうが、通常ガードだろうがフォルトレスディフェンスだろうが、絶対にポチョムキンのほうが先に動く。出が速いしゃがみパンチですら間に合わない。
リプレイ再生で目立った事象として、起き上がりにガルダインパクトを撃たれて、とりあえずガードしてのけぞってしまったところを殴られてダウンさせられ、起き上がりにまたガルダインパクトを撃たれて……というのがあった。たぶん、これがいちばんよくないパターンだ。
ということは……ガード以外の方法はどうだろうか? あるいは、いま使えていないガードテクニックはなにかないだろうか?
まず、覚醒技のジュガント・ダ・パルフェーオや、サイクバーストを試す。
これは当然ながら無敵時間があるので、うまく発動できれば対処法として機能する。
ただ、テンションゲージやバーストゲージを消費するし、覚醒技は起き上がりに合わせてタイミングよく発動させるのがけっこう難しいので、リスクもそれなりにある。
そういえば、無敵時間ということで言えば、バックステップもわずかに無敵時間があるはずだが……?
おっ、いけそう!
バックステップすると、タイミングがよければわずかな無敵時間でガルダインパクトを回避できるし、回避に失敗するとダメージはくらうが後方に大きく吹き飛ぶので追撃をくらわずに済む!
ステージの真ん中あたりにいるときは、これはよさそうだ。ガルダインパクトを一発もらう覚悟は必要になるが、仕切り直しやすい。リスクが低いわりにリターンが大きい。
直前ガード(ジャストガード)は……あんまり意味がない気がするな。
距離を離したいのに離れないし、けっきょくポチョムキンより早く動けるわけでもないし。
あっ、距離を離すということで言えば、ディフレクトシールドは……?
おっ、これはかなりいいぞ!
いままで実戦でほぼ使ってこなかったのでよくわかっていなかったが、ディフレクトシールドはガードクラッシュでのけぞっている状態でも使えるので、ガルダインパクトをガードした後にポチョムキンが追撃に来たところを追い払える!
しかもこれは、壁際でも使える。バーストゲージを消費するが、サイクバーストと違ってゲージ消費が半分で済むのもすばらしい。
なるほど。ということは……
ガルダインパクト対策としてぼくがいますぐ使えそうなのは、バックステップとディフレクトシールドだ!
おそらく、それらがガルダインパクト対策に有効であるということはとっくに攻略サイトなどにも書いてあるので、多くの人はこれをまったく不要なプロセスだと思うはずだが、ぼくはこのプロセスそのものが楽しい。ついでに、自分でたどり着いた結論なので自分に合っていること、納得感があること、忘れにくいこと、まずは自分で考えるクセが定着することなどがメリットとしてある。
また、「なぜバックステップやディフレクトシールドがいいのか」という理由が深めに理解できるので、対ポチョムキンや対ガルダインパクトに限らずほかの場面に横展開しやすいのも、自力で研究することの恩恵のひとつだ。
これは、算数で言うと公式を公式のまま「そういうものだ」と覚えるか、なぜその公式になるのかも含めて理解するかの違いにたぶん近い。
三角形の面積の公式(底辺×高さ÷2)を理由含めてわかっている人はそこから台形の面積の公式を自力で導き出せるが、「そういうものだ」とだけ覚えている人は三角形と台形が結びつかない。ふたつの公式を別個のものとして覚えてしまう。
そして、あとは分析で得られたことを実戦投入し、検証しながらモノにしていく!
バックステップとディフレクトシールドはガルダインパクト対策として有効なことがわかったが、相手のポチョムキンも当然ながらそれは頭に入っているはず。
とすると、ガルダインパクトを撃たれる前の駆け引きも重要なことがわかる。たとえば序盤からバックステップとディフレクトシールドを何度か見せて「こっちはそのへんが行動の選択肢につねにある人だぞ」とアピールしておくことで、相手にガルダインパクト自体を躊躇させる、などだ。
いい研究ができた! 大満足!
ランクタワーの適正階層を上級者が多い10Fに戻しておく。戻さなくても10Fの人とは戦えるのだが、やはり同格として戦ったほうが緊張感と本気度の高い戦いができ、いいデータがたくさん集まる気がするので、その意味ではなるべく居座りたいところだ。
……という感じで、格ゲーは勝ち負けを競うのも楽しいが、自分が知りたい、やりたいと思ったことを自分なりにどんどん深めていくのも楽しい!
あなたもリプレイやトレーニングを駆使して、ぜひやってみてほしい。好きなキャラを研究しまくってほしい。それによって、知的好奇心を満たしながら……
好きなキャラのいろんな姿をこれでもかと言うほど見よう!
自分より太い太ももを見て驚くエルフェルトを見てくれ!
がんばろうエルフェルト! ポチョムキンよりも太い音を打ち鳴らせる太い太ももをめざして!
コメント
苦手キャラ克服のために連戦挑んでキャラ対策しあげていくのはもうマジモンの格ゲーマーですねすごい!
格ゲーに対する研究心と分析能力が高すぎてそのまま格ゲー講座に出来そうなぐらいギルティギアの記事は凄いけど
ふと見ると太ももの事ばっかり書いてあるからおすすめ度が滅茶苦茶低い
勤勉だ、すごい
めちゃくちゃ研究者気質が見えてタメになるのに語彙のせいで研究成果が何も判らない
しかし買ってギルティ復帰しようかな?
格ゲーに限らないかもしれないが選択肢の多さというのは強さに繋がるものだよね
起き上がりのバクステやリバサは格ゲー経験者にとっては基本の選択肢だけど
それを何の情報を得ずに独力で積み重ねてる様は相変わらず素晴らしい
算数の例えが秀逸で、ただ情報を見てなんとなく選択してるのと自力で覚えていき選択したものなら後者の方がより後々の上達に繋がるだろうね
軽く調べた感じだけどゲムぼく。以上にガルダインパクト対策書いてるページなくて草はえる
しれっと10Fに戻れるようになってるの怖い
オリジナルな対処法を持たれてると経験が生きにくいから
ゲムぼく氏みたいなプレイヤーは実力よりも怖いイメージ
太ももへの愛も怖い
太ももが擦れ合う音で倒される闇慈の身にもなれ
太ももエクスプレス
公式化して欲しいくらいエルフェルトっぽいキャッチコピーだ…
ゲムぼくのギルティギア記事毎回完成度高くて勉強になるけどキモいんだよなぁ
ディフレクトシールドは割と最近のシステムだから初期の攻略情報にはむしろ載ってないぞ
ゲムぼく。さん特有のむちむちメンタリティあってこそ前向きに楽しめる気もする
むちむちメンタリティを得るためにラスオリを始めるべきか?
フットイモモオトライヴを最後にもう1回拾うのえらい
そういやエルフェルトやディキンソンにはアァ~してるけどポチョムキンはターゲット外なのか
むちむちというより筋肉でガチガチだからだろうか
知性と痴性を同時に感じる記事だ
>結果的に10連敗くらいしてランクタワー適正階層が10F→8Fに落ちたのだが、これがとても楽しかった。
メンタルどうなってるの…と言うか本当に勝ち負けに関心が無いんだなぁ
これ明日もしかして、アア〜…ポチョムキン…だったりする?
いい楽しみ方してると思います
格ゲー3ヶ月で10Fに当たり前のように居座ってるの凄くない?
格ゲーに向いてるのはトレモに延々籠もれる人って説があるし完全に合ってる
>いまはただガルダインパクトをたくさん浴びて苦しみたい。ここだけ読まれると変な人みたいだな。
そこ以外読んでも変な人だった。
この記事良く見たらめちゃくちゃ有用なのでは?
幻術か?
こうして見ると、当たり前だけど強い人たちはゲームの使える仕様をちゃんと理解して状況に応じた最適解を出してるんだろうなー、強くなる上では細かい仕様やテクも意外と重要?
これで実際10F行けてるんだから凄いよな
対策を書いてある記事は何度も読んだことがあるけど対策の考え方を書いた記事って初めて読んだ すごく参考になる
自分で研究すると、最適解だけじゃなくて妥協策とかも把握できるので、戦いやすくなりそう
自分もフトフトモモ アアフットがうまくなれるようにがんばります!
なんならそこだけ読めばストイックなゲーマー
フトモモやりこみも様になってきたな
格ゲーに対して適性がありすぎる
いくら研究用とはいえ10連敗もしたら流石に萎えてしまうのでその辺が違うんだろうな
>自分自身が「こうしたらどうなるだろう。あ、ダメか。じゃあ次はこれをやってみたらどうなるだろう」と試しながら戦ったものなので、いろんなパターンの試行結果が詰まっているし、記憶にも残っている。
サラッと言ってるけどこれができるってすごいことなんだよ
むちむちへのこだわりを除けば 、格ゲーに限らず全対戦ゲーに通ずるところがある良い記事だと思う
そのむちむちのせいで人に勧めることが出来ないが
>いい研究ができた! 大満足!
>ランクタワーの適正階層を上級者が多い10Fに戻しておく。
研究するだけして帰宅感覚で登るあたりからあふれるマッドサイエンティスト感よ…
プロ格ゲーマーのウメハラが言ってた「法則型」の思考してんな……
この集中して特定キャラの対策をするのは対戦するキャラを選べるストライブならではか
攻略見ないで自分で対策考えるのが楽しいってのは格ゲー適性あるよね