大炎上からこっそりリニューアル。セブンイレブン『sonnaバナナミルク』のいま。

　2020年12月ごろ、セブンイレブンの『sonnaバナナミルク』というコラボ商品が大炎上したのをご存じだろうか。

セブンイレブンのsonnaバナナミルクが損なバナナと話題に – 秒刊SUNDAY
最近セブンイレブンがおかしい　明らかな「容器詐欺」が多発　“損なバナナ”や“空洞おむすび”が話題に – excite ニュース

　じつは、発売自体は2020年6月にされていた。
　その後12月に、容器の大きさの割に量が少なく、それでいて半透明の容器を一部分だけバナナミルクと同色に塗装して中身を多く見せかけるという、いわゆる「内容量詐欺」の典型であることが話題に。セブンイレブンはかねてから弁当の底上げやサンドイッチの具の少なさなどが批判されており、「またセブンか」という流れで大炎上した。

　しかし、その後どうなったのかを知っている人は多くないだろう。
　「まあ、販売中止にでもなったんじゃないの？」とか、逆に「セブンのことだから悪びれず堂々と販売し続けてるのでは？」とか思う人が多いのではなかろうか。
　実際は……
　

　2021年7月現在、プチリニューアルされて再発売されている。
　1年前はプレスリリースやTwitterで大々的に告知していたのに、今回は公式Webサイトの商品一覧にすら情報を載せずにこっそり売り始めている。コラボ契約は遂行せねばならないが世間からはもう絶対に叩かれたくないという強い意思を感じる。
　

　ので、買ってきた。
　いったい、リニューアル前後でなにがどう変わったのだろうか。
　

　今回の商品情報はパッケージを見ればわかるとして、リニューアル前のものは公式サイトからはきれいさっぱり消されてしまっている。
　が、もぐナビに文字情報や写真がある程度残っているから、そこから引っ張ってくることができそうだ。
　比較してみると……

価格：税別180円→税別185円（102.8%）
内容量：190g→210g（110.5%）
エネルギー：129kcal→141kcal（109.3%）
バナナ果汁：45%→44%（97.8%）
たんぱく質：3.6g→4.2g（116.7%）
脂質：1.5g→2.3g（153.3%）
炭水化物：27.8g→28.7g（103.2%）
糖類：21.7g→21.3g（98.2%）
容器：半透明→不透明

　まず目につくのは、値上げ幅より内容量の増え幅のほうが大きいことだ。
　やはり、内容量詐欺だと強く批判されたのを重く受け止め、多少は利益率を落としてきたのだろうということがうかがえる。210gというのは、200gの大台を超えることを意識した結果だろう。
　また、内容量が10.5%増えたいっぽうで、各種成分の増加幅はそれと一致しない。たんぱく質などは大きく増えたが、バナナ果汁割合や糖類はむしろ減ってしまった。よく言えば「よりおいしくなるように見直した」だろうし、悪く言えば「バナナなどを薄めてそのぶん内容量を増やした」だろう。どっちとも言えるし、どっちとも言えない。
　

　ちなみに、個人的に「おっ」と思ったのは、パッケージ表面に大きめに「210g」と書かれていること。
　じつは、リニューアル前は表面に内容量を書いていなかったのだ。190gというのは同サイズ帯の他製品と比べても明らかに少ない（他製品は200～220g）ので、意図的に隠していたのだろう。
　今回あえて「210g」を前に出してきたことで、セブンイレブンがさすがに反省したということと、リニューアル前の商品がいかに内容量詐欺に本気だったかということがよくわかる結果になった。
　

　さて、飲んでみよう。
　本来はフタ部分に直接ストローを刺して飲むのだが、今回は中身の様子を確かめるために、あえてフタを手で開ける。
　

　こんな感じ。

　うーん、量はふつうだな。「内容量詐欺だ！」と騒ぎ立てるほど少なくもないし、逆に多くもない。「まあ、これくらいだろ」というごくふつうの量だ。
　そして、色は薄めだがキレイだ。混ぜたときの感触も引っかかりが少なく、ドロドロしていない。
　食感は「濃厚ではないが飲みやすい」という感じ。おいしい。

　個人的には、少し前に紹介したファミマの頭が悪すぎるドロドロバナナミルクが記憶に強くあるので、それと比べるとパンチに欠けるな、と思ってしまう。
　でも、セブンイレブンのこれこそが王道のバナナミルクではある。

　飲んでみると、おいしくてのどごしもよいので、けっこうすぐなくなる。
　セブンのことだから二重底にでもして巧妙な底上げをしているかもしれないぞ、と思っていたのだが、飲み干したあとに確かめてみるとそんなことはなかった。
　まあ、さすがにこの製品に関してはいちどやらかしているから、同じリスクは背負わなくていいようにしているのだろう。
　

　ネット上のどこもほとんど話題として取り上げていない、リニューアル後のsonnaバナナミルク。
　総評としては、まあ、ふつうにおいしいふつうのバナナミルク、という感じだった。ネタにして叩くような要素はなくなったし、かといって、大絶賛するようななにかがあるわけでもない。

　なんともオチに困る感じだ。ぼくも「ぼくの股間のバナナミルクもよろしくお願いします」しか思いつかない。
　正直、炎上にもバズりにもならないからどこも話題として取り上げないんだろうな、こういうのって。
　でも、それでいいのだろうか？そうやって、騒げそうなときだけネタにして消費して、飽きたらその後の改善や変化には見向きもしない。そんなメディアのなんと多いことか。ぼくは世の中にこう言いたい。
　ぼくの股間のバナナミルクもよろしくお願いします。　