モンスターがよぉ!弱すぎるだろうがよぉ![魔界塔士Sa・Ga]

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 『魔界塔士Sa・Ga(サガ)』をクリアした。
 1989年に発売されたゲームボーイ用RPGで、スクウェア(現スクウェア・エニックス)にとって初のミリオンセラータイトル。いまに続く『サガ』シリーズの原点。

 クリアタイムは、10時間ほど。どのゲームを遊ぶときもそうだが、攻略情報はいっさい仕入れず、完全初見プレイ。
 ずっと楽しくて、あっという間だった。「1989年の時点でこんなに革新的なRPGがあったのか」という驚きもあり、ぼくが好きな『サガフロンティア』シリーズに通ずる要素の発見もありで、RPG史やサガ史を知るうえでも勉強になった。

 ……が。
 

 モンスターがよぉ! 弱すぎるだろうがよぉ!

 ここで言うモンスターとは、味方としてのモンスターのこと。
 本作は『人間』『エスパー』『モンスター』の3種族から自由に4人を選び、パーティーを組んで冒険するシステムになっている。
 このうち、どう考えてもモンスターだけが極端に弱い。より正確には、「扱いづらい」「法則を知らないと弱い」という感じ。ポジティブに言えば「知識があれば強い」のだが、それは「初見プレイでは弱い」という意味である。
 

 罠は、ゲームスタート時点から張り巡らされていた。
 これは、主人公および仲間を選ぶ画面。昔のゲームなので詳しい説明などはなく、これがいきなりポンと表示されて「好きなのを選んでね」となる。
 8種から選べて、それぞれ種族や性別が異なるわけだが……
 

 選択肢の内訳は、人間2枠、エスパー2枠、モンスター4枠。
 これじゃモンスター2人にしちゃうだろうがよぉ! このバランスで配置されてたら「なるほど、人間1人、エスパー1人、モンスター2人で編成するのが標準的なのかな?」って思っちゃうだろうがよぉ!
 

 ということで、「人間1・エスパー1・モンスター2」で冒険がスタート。
 初期ステータスは大差なかったが、プレイ開始から2時間弱が経ち、『塔』を上り始めたころ……
 

 HPに2~3倍の差がつき始めた。HP以外のステータスも同じくらいの差。
 人間とエスパーが敵に60~70のダメージを与えるいっぽうで、モンスター2人は敵に10~20ダメージしか与えられない。かわりに敵から60~70のダメージをくらう。弱すぎるだろ。

 いや、しかし。
 肉で強いモンスターに変身できれば大丈夫!
 

 そう。本作にはモンスター独自の成長要素として『肉』システムがある。
 本作は種族ごとに成長方法が異なり、人間は「成長アイテムの購入・使用で成長」、エスパーは「戦闘終了後にランダムで成長」、モンスターは「戦闘終了後に倒したモンスターの肉を食べて変身」となっているのだ。
 

 ガーゴイル、けっこう強敵だったな。この肉を食べれば強くなれそうだ。
 いまは最大HPが82しかないが、ガーゴイルの肉をひとたび食べて変身すると、なんと!
  

 は?
 

 おかしいだろうが!
 HP413とHP20が同じパーティーにいるのおかしいだろうが! なんだその低さ! はぐれメタルか!?

 なお、『ドラゴンクエスト』シリーズのはぐれメタルはHPが極端に低いかわりに防御やすばやさが高く各種耐性も高いが、本作のおおハサミむしはHPが極端に低いうえに全ステータスが低く耐性もない。おかしいだろうが!!
 

 というか、そもそもおおハサミむしは初期モンスターの1人である。
 おかしいだろうが! なんで途中で初期状態に戻ってるんだ!!

 そう、これが大問題。
 人間やエスパーと違い、モンスターは「弱くなる」ことがある。しかも、しょっちゅう。

 3種族の成長イメージをグラフにまとめると、下図のようになる。
 

 いちばんわかりやすいのはエスパー。戦闘回数にほぼ比例して少しずつ成長し続けるので、キレイな直線。
 人間は、お金を貯めて街に戻り、成長アイテムを買ったときにドンと成長するので、階段状になる。
 モンスターは、山脈型。そもそも「成長」ではなく「変化」。60から一気に180に上がり、その次の戦闘で20に下がる、ということがザラにある。山脈にしても高低差がありすぎるだろ。

 ちなみに、「成長」ではなく「変化」であることを逆手に取り、特定の手順を踏めば、序盤から人間やエスパーがとうてい獲得できない強さを得て大活躍することも可能である。
 が、冒頭にも書いたように、それは特定の手順を踏めるだけの知識があること前提であり、初見プレイには関係がない。
 

 変身は、ざっくり言うと「現在どのモンスターか」と「どのモンスターの肉を食べたか」の2要素をかけ合わせて変身先が決まるしくみ。だが、とにかく初見だとぜんぜんわからず、どんなモンスターになるか予測不可能すぎる。
 そもそも、「2要素をかけ合わせて変身先が決まるしくみ」ということ自体、説明がない。結果から仮説を立てながらプレイしていくと、中盤あたりでようやく「たぶん、そういうしくみなんじゃないか?」と推測できるレベルだ。

 おそらく1989年当時だと、ゲーム雑誌の特集とか、学校や職場での友人との情報交換とかがあって、それでみんな仕様や効率的な変身方法について知識を得ていたのだろう。
 それに比べると、この2026年にあえて初見プレイをするのは難度が高すぎる。もちろん、探しに行けば攻略情報はあるが、日常生活で自然に耳に入ることは絶対にない。さらに、プレイヤー自身が現代の丁寧で快適なRPGに飼い慣らされてしまっているので、この理不尽さへの耐性も低い。
 

 レ、レッドボーン……?
 レッドボーンって、どんなのだっけ? 現在は『こあくま』で最大HP202だが、レッドボーンは……?
 このエリアはザコの攻撃が一撃で110ダメージくらいあるから、230くらいあると2発耐えられてうれしいが……
 

 103じゃねーか! すべての攻撃が悪い意味で一撃必殺!

 で、こういうことをしているとどうなるかと言うと、
 

 当然、モンスターたちはすぐ死ぬのでLP(ライフポイント)がどんどん減り、
 

 LPが尽きるとキャラロストになってしまってかわいそうなので、戦闘してお金を貯め、LPを買って回復してあげて、
 

 戦闘しすぎたことにより序盤~中盤にしてエスパーのステータスがカンストし始める。
 

 もはや冒険というより介護である。介護塔士サガである。エスパーと人間がモンスターの介護を通してどんどん屈強になっていく物語である。
 ちなみに、人間は「せっかく稼いだ金を成長アイテムではなくモンスター介護用のLPに使われる」という点でかなり割を食っており、ステータスがやや伸びづらい。かわいそう。介護がなければHPはとっくにカンストしていた。
 

 終盤に入り、モンスターが2人ともいい変身ができて人間のHPを追い越したときには、さすがにちょっとキレそうになった。
 おかしいだろうが! 「テヘッ、超えちゃいましたわ」みたいな顔しやがって! お前のせいでこっちの成長が止まってたんだろうが! ずっと周囲に仕事を巻き取ってもらって配慮されてるのに、それでようやく契約1件取れただけで周りと肩並べた雰囲気出しやがって!
 いま+1点だとしても過去に-100点の積み重ねがあることを忘れるなよ! まだトータル-99点だぞ!
 

 その後、最終的に、モンスター2人はブラックローズという強力なモンスターへの変身を遂げ、
 

 とあるアイテムの使用を封印して臨んだ正攻法でのラスボス戦では、
 

 トドメを刺すといういちばんおいしいところを持っていき、
 

 「やっちまったぜ……」などといっちょまえに語るようになった。
 おかしいだろうが! 「やっちまったぜ……」とかエラそうに言う前にお前らが無限にやられちまってきてるだろうが! LP何個買ったと思ってるんだ!
 「帳尻合わせましたよ」みたいな顔するなよ! 合ってないからな! たしかにラスボス戦では大活躍して+10点くらい評価が上がったけど、まだトータルはマイナス89点だからな!!
 

 まったく……とんでもない冒険だった。
 クリアタイムは10時間だったが、モンスターがいなければ5時間くらいで済んでいた可能性がある。ずっと介護に追われていた。
 なんだこのゲームはよぉ! モンスターがよぉ!弱すぎるだろうがよぉ!
 

 次は、続編『Sa・Ga2 秘宝伝説』を初見プレイする予定。
 同作にもモンスターはいるらしいが、さすがにもう二度と選ばな……
 

 ……
 

 …………
 

 選んじゃった! またモンスター2人体制でスタートしちゃった!
 だんだんクセになってきた! 手のかかる子ほどかわいいね!
 

コメント

  1. 名無しのゲーマー より:

    介護してると筋肉つくのは現実でもあるあるだからね…

  2. 名無しのゲーマー より:

    >ポジティブに言えば「知識があれば強い」のだが、それは「初見プレイでは弱い」という意味である。

    初代サガのモンスターは正直知識があっても弱いかもしれない

  3. 名無しのゲーマー より:

    愛やね

  4. 名無しのゲーマー より:

    当時の子供達はどうやってモンスターを使いこなしてたんだろうな

  5. 名無しのゲーマー より:

    ゲームボーイ当時にやり込みましたが
    モンスターは弱すぎて封印してました

  6. 名無しのゲーマー より:

    サガシリーズあるある、システムを理解してると強い(初代はそうでもないかもだけど)が何もわからないとただただ弱いを象徴してるのがモンスターという種族だよね
    お察しの通りシステムを理解してれば序盤からティターンを作れて無双できたりするけど、そんなもん初見で発見できるわけもなく…
    でも偶然結構強いのに変化すると興奮しちゃうのでモンスターにハマってしまうのもわかる

  7. 名無しのゲーマー より:

    saga2のモンスターは知識があると真面目に強い
    saga1はうーん…

  8. 名無しのゲーマー より:

    >おそらく1989年当時だと、ゲーム雑誌の特集とか、学校や職場での友人との情報交換とかがあって、それでみんな仕様や効率的な変身方法について知識を得ていたのだろう。

    情報は色々あったけどモンスターは結局面倒だからみんな使ってなかったな…

  9. 名無しのゲーマー より:

    初代サガ、今こうやって見ると滅茶苦茶すぎて面白いな
    流石に中盤でHP20は駄目だって

  10. 名無しのゲーマー より:

    初見でモンスター2匹はもう縛りプレイの域なのよ

  11. 名無しのゲーマー より:

    かわいいは正義ということで許してあげてね

  12. 名無しのゲーマー より:

    秘宝伝説のメカはずんぐりむっくりでかわいい

  13. 名無しのゲーマー より:

    >LPが尽きるとキャラロストになってしまってかわいそうなので、戦闘してお金を貯め、LPを買って回復してあげて、

    なんだかんだ優しいじゃねぇか

  14. 名無しのゲーマー より:

    Saga1は氏んだ仲間はギルドで入れ替えられるので、使い捨てが可能なのがまた殺伐としてるのよね、むしろ氏んで無いと拒否されるし。
    特に序盤はエスパー多め、中盤から人間に入れ替えなどで編成を変えられるのはGB版Sagaシリーズでは唯一無二という

  15. 名無しのゲーマー より:

    あぁ~レトロゲー特有の雑で理不尽なバランス調整キモチイイ~^^(見てる分には)

  16. 名無しのゲーマー より:

    「とかす」が強いからスライム系だけはまだマシだったりする(強いとは言ってない)

  17. 名無しのゲーマー より:

    いや1で半分がモンスターだから、なら2では人間エスパーメカモンスターやないかいw

  18. 名無しのゲーマー より:

    小学生にモンスターを使いこなすのは無理(知識量)だし中年以降のおっさんがモンスターを使いこなすのも無理(情熱面)

  19. 名無しのゲーマー より:

    縛りプレイに適正がありすぎる男ゲムぼく
    よいこのみんなはぜったいまねするなよ!

  20. 名無しのゲーマー より:

    最終ランクのモンスターでも約2/3は神に対してダメージを与えられないくらいに無力なのに、2〜3番手に優秀なブラックローズに初見で変化できたのは本当に奇跡

  21. 名無しのゲーマー より:

    秘宝伝説のシステムで魔界塔士やりたいと願い続けて幾星霜

  22. 名無しのゲーマー より:

    ゲムぼく、昔のゲームでも毎回ネタバレに配慮してるの本当に丁寧
    根の真面目さが隠せてない

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