着いた!
東京都の上野駅!
かなりひさびさだ。何年か前に、上野動物園に行ったとき以来だろうか。
ただ、今回の目的は動物園ではない。
あっ、駅内にさっそく広告があった!
これだ! 『鳥展(とりてん)』を見に来たのだ!
上野にある国立科学博物館では、2024/11/02(木)~2025/02/24(月)の約3ヶ月間、特別展「鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~」が開催されている。600点を超える標本が展示され、種の発展・進化に関する最新の研究成果もいろいろ見られるらしい。
国立科学博物館には行ったことがないし、そもそも博物館・美術館の類自体そんなに行かないほうの人間なのだが、これは興味がある! 絶対に行きたい! なぜなら、
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鳥が好きだから!
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特にペンギンが大好きだから!
とりあえず、チケットは事前に『アソビュー!』で買っておいた。
そして、ひとりでじっくり見て回りたかったので、わざわざ平日に有給休暇を取った。
通勤ラッシュが終わったころの午前中ということで、国立科学博物館がある上野公園に着いてみると、人はぜんぜん……
いるじゃねーか! めちゃめちゃ人いるじゃねーか! 東京怖い!
「まあ、お散歩に来ているご年配の方々と、あとは外国人観光客がちらほらいるくらいでしょ」と予想していたので、かなり驚いた。いちばんやばかった時期のレゴランドの10,000倍くらい人がいる。そもそもそこと比べるのが間違いな気はする。
上野公園内を歩く。
道が広く、緑が多く、木々の香りをまとった風が優しく吹く。気持ちいい。
ちなみに、上野公園内は前述の通り人がめちゃくちゃ多いのだが、全員が国立科学博物館に行くわけではない。上野動物園、国立西洋美術館、東京文化会館などさまざまな施設があるので、奥に進めば進むほど人が分散し、歩きやすくなっていく。
この日は国立西洋美術館に行く人が特に多かったようで、美術館前には長蛇の列ができていた。どうやら『モネ展』をやっていて、それがすさまじい人気らしい。覇権コンテンツだ。
しかし、この国立科学博物館だって負けていない!
もうひとつの覇権コンテンツ、鳥展がここにある! 見ろ、この巨大な建物!
……の、端っこにある入口を!
大樹の枝にとまる小鳥のごとく、博物館の端に鳥展がくっついている! かわいいぞ!
鳥展は期間限定の『特別展』にあたり、入場料は大人2,100円。高校~小学生は600円。それ未満は無料。常設展とは料金が違うので気をつけよう。
ただ、あとで気づいたのだが、今回の鳥展を含め、特別展はほとんどの場合、常設展の入場料(630円)が含まれているらしい。つまり、2,100円を払えば、鳥展も通常の展示も見られる。
ぼくははりきって常設展のチケットも買ってしまったのだが、その630円は不要だったということになる。
おっ、ここが鳥展の建物か!
入口こそ博物館の端っこだったが、建物自体はかなり大きい。これだけで一般的な県立・市立の博物館くらいありそうだ。
“科博初! 鳥類の特別展なんだってさ。”
言語野と声帯が異常に発達しているシマエナガに見守られながら、入館!
もちろんぜんぶ見て回るが、まず押さえておかねばならないのは……
ペンギン!
空を飛ぶことはできないが、鳥類でいちばん泳ぎが得意! そしていちばんむちむち! つまりいちばんかわいい! そんなペンギンたちが大集合らしい!
アッ! いる! いっぱいいる!!
ざっと見渡してすぐわかったが、日本で飼育されているペンギン11種がすべて展示されているっぽい! 標本とはいえ、すごい! 長崎ペンギン水族館ですら8種(イワトビをキタとミナミに分けると9種)なのに!
コウテイペンギン(エンペラーペンギン)とオウサマペンギン(キングペンギン)が並んで展示されている!
見た目のそっくりな2種だが、こうやって並べられると、体長の違い(コウテイは約120cm、オウサマは約90cm)や、首元の模様の違い(コウテイは白が多く、オウサマは黒とオレンジが目立つ)がよくわかる。
さらに、この2種に関してはヒナの標本も展示。
コウテイとオウサマは成鳥は見た目がそっくりなのだが、ヒナはまったく似ていない。一般的に、コウテイのヒナはかなり人気者でキャラ化・グッズ化などもたくさんされているのだが、真っ茶色のオウサマのヒナは認知度が低い。こんなにかわいいのに! むちむちのたわしみたいでかわいいのに!
こうやってコウテイとオウサマを並べ、ヒナも展示してくれているあたりに、この鳥展の「あらゆる人に楽しんでほしい、鳥を楽しく学んでほしい」という姿勢が見える気がした。
多くの人はそもそも「えっ、同じに見えるのに違う種類のペンギンなの!?」というところから驚きだろうし、ヒナがこんなに違うところでまた驚くだろう。そこで興味を持って、「えっ、成鳥はどこが違うんだろう?」と見比べたり、「オウサマのヒナってこんなんなんだ……」とまじまじ見たりするはず。
ぼくはこのペンギンコーナーに2時間以上いたが、実際、そうやって驚いている人は周りの来場者にたくさんいた。この際ぼくがこのコーナーに2時間以上いたことは気にしないでほしい。
おっ、イワトビペンギン! ペンギンのなかでもジャンプ力ならナンバーワンだ!
『イワトビペンギン』として展示されていたが、冠羽(かんう)と呼ばれる金髪の部分がちょっと短めなので、おそらく厳密にはミナミイワトビペンギンだろう。
(左:ミナミイワトビペンギン 右:キタイワトビペンギン。2024/01 長崎ペンギン水族館で撮影)
イワトビペンギンはキタとミナミの2種(分け方によってはヒガシも含めた3種)がいて、見た目はほぼ同じなのだが、キタのほうが冠羽がちょっと長く、首のあたりまで垂れ下がっていることが多い。
「金髪が 首までキタら キタイワトビ」という覚え方をいま思いついたのでぜひ使ってほしい。
あっ、これ、マカロニペンギン!? マカロニペンギンだ!
日本には約11種類のペンギンがいるのだが、ぼくが唯一まだリアルで見たことがないのが、このマカロニペンギン。
まさか標本でひと足お先に見ることになるとは! 特徴のひとつである脚の黄色がまぶしい!
あら、ジェンツー! ペンギン界のアイドル、ジェンツーペンギンだ!
白いヘアバンドのような頭部の模様、鮮やかなオレンジのクチバシと脚、そして陸上ではペンギン最速! なんと水中ならペンギンどころか鳥類最速! サメと同等の時速36kmで泳ぐぞ!
標本とはいえ、こんなに間近で、しかもガラス越しじゃなくジェンツーを見られるのは感動!
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ジェンツーペンギンは、亜南極と呼ばれる南極に近い地域に住む。ほかにも、ヒゲペンギン、アデリーペンギン、オウサマペンギン、コウテイペンギンなど、亜南極~南極に住むペンギンは多い。
それらは日本では冷房のよく効いた部屋で飼育する必要があるため、基本的に水族館・動物園ではどうしてもガラス越しに見ることになる。
そんななか、この鳥展ならジェンツーと我々の間をさえぎる物はなにもない! もう誰もぼくを止められない! オッ、オオン! アオーーーーーーーーン!!
ウオオオオオオオ!
マゼランペンギン(左上)とケープペンギン(右上)とフンボルトペンギン(手前)が一堂に会している! なんだここは! 長崎ペンギン水族館か!?
コウテイとオウサマ同様、これもパッと見では違いがわからない近縁の種を並べることで、「えっ、なにが違うの?」と来場者に興味を持たせるしかけがすばらしい。
ぜひ実際に行って見比べてほしいが、ざっくり特徴を言うと、クチバシの根元がピンクなのがフンボルトペンギン、目の上がピンクなのがケープペンギン、正面から見たときに胸と首元で合計2本の黒い横線があるのがマゼランペンギン、かわいいのがすべてのペンギン、いつもがんばっていてえらいのがあなたである。あなたはえらい。きょうもお疲れさま。
えっ、これは……オオウミガラス!? 元祖ペンギンことオオウミガラスだ!
我々が知るペンギンはみんな南半球に住んでいるのだが、このオオウミガラスは北半球の海鳥。そしてじつは、これこそがもともと「ペンギン」と呼ばれていた。学名が『Pinguinus Impennis』であることからも、それがわかる。
しかしその後、オオウミガラスは絶滅。元祖ペンギンがいなくなったことにより、ペンギンと言えば南半球のペンギンたちを指すようになっていった。ちょっと悲しい経緯を持つ鳥だ。
オオウミガラスは絶滅種だし、チドリ目ウミスズメ科なので我々がよく知るペンギン目ペンギン科のペンギンたちとは明らかな別種。
それでも、これをペンギンコーナーに展示してくれる粋な計らいに、この鳥展のペンギンを愛する気持ちが表れている。
きっと、この鳥展をきっかけにオオウミガラスを知ったことで、水族館や動物園でペンギンを見るときにオオウミガラスに思いをはせるようになる人もいることだろう。ぼく自身も、初めてオオウミガラスの模型を見ることができて、たいへん勉強になった。
すごいぞ、鳥展!
「博物館」とか「展示」とか聞くと堅苦しさがあるが、ただ見ているだけで楽しいし、意識しなくても学びがたくさんある!
よし、これでペンギン目の展示はすべて見終えたぞ。
ええっと、これで全体のうちの……
44分の1を見終わったぞ!
えっ、正気か? あと44分の43あるの?
コメント
今月半ばくらいに行くつもりだったから助かる
やはり特別展は図録買ってこそでしょ
ペンギンコーナー見た時に絶対ゲムぼく。さん好きそう…と思ったけどあそこだけで2時間は想像を超えてた、回り切る前に閉館しそう
ペンギンコーナーだけで2時間とはさすがすぎる…
国立博物館って閑散期って存在するの?ってぐらいいつも人いるよね
西洋美術館の方にはしばしば行くことあるけどだいたい混んでるもんなぁ
今日はアカデミックだな
鳥展!
行きたいなーと思っていたので、ゲムぼく。さんの解説が読めて嬉しいです!
どうぶつの森コラボしてるときにうみの杜水族館行ったけどペンギン見なかったな、そんなレアペンギンいたのか
ゲムぼく。さんのペンギン記事大好きです。おかげさまでいつのまにか自分までペンギンやまるまるもちもちしたものが好きになってきています。
楽しそうな記事を読んでいると、自分も国立科学博物館に行ってみたくなりました。人混み苦手ですけれど、いつかチャレンジしたい。
▷ かわいいのがすべてのペンギン、いつもがんばっていてえらいのがあなたである。
ありがとうございます。ゲムぼく。さんもいつもがんばっていてえらいと思います。きょうもお疲れさまでした。
くっそ、行きたくなる記事書きやがって!
すごく面白いじゃないか!
もしかしてあと43記事レポが続く?
ペンギン情報が洪水のように押し寄せてきてるせいで
前編と銘打たれてたり、誰かに教えても社会的に死ななかったりで
ゲムぼくらしいのにゲムぼくらしからぬ記事
記事の途中に急に労われて困惑してる自分がいる
骨格標本あります?あったら行きます
impennisをI’m penisに空目して「私はおちん◯んです」って卑猥な単語かと思ってすみませんでした
ちゃんとした学術用語でした
国立科学博物館はいいぞ
ムチムチのゾウが闊歩する上野動物園もいいぞ
モネのこと何も知らないのにモネ展のチケットだけ買ったから、ついでに行くかと思ったら展示の量がむちむちすぎる
前編(半分とは言ってない)
> マゼランペンギン(左上)とケープペンギン(右上)とフンボルトペンギン(手前)が一堂に会している! なんだここは! 長崎ペンギン水族館か!?
実際にあるんだからすごいよなぁ……
>あなたはえらい。きょうもお疲れさま。
突然閲覧者を励ましてくれるブロガーの鑑。
国立科学博物館いいですよね。マジでここ常設も見てたら1日潰せるんだよな……
ここの特別展見応えあって楽しいですよね。博物館・美術館好きなのでゲムぼく。さんが行ってくれて嬉しい
常設展もボリューミーなのでそちらも楽しんでください
それはそれとしてペンギンコーナーで2時間はすごい
素敵ねぇ
これ行きました。マジで物量ヤバいので解説斜め読みして標本眺めてるだけでも時間溶けましたね…これだけ揃って見られる機会なんて今後あるかどうかなので行ける人は行った方がいい
ペンギンだけで1コーナーあるとかパネェなあ
これがあるだけで、関東圏住みが羨ましい西日本民
剥製なんだけどポーズの付け方が活き活きしてて良いですよね
とくにケープペンギンちゃん(右)の遠くを見ようと伸ばした首と胴体の曲げに伴ってL字型に折り曲がった翼がもう今にもてちてち歩き出してこっちに来てくれそうで可愛いんだわ
話ズレるけど、鳥展行く予定のあるコメントニキたちに特設ショップ(お土産コーナー)にあるガマグチヨタカのスクイーズをおすすめしとく
まんまるころころむちむちでずっとにぎにぎしてられるぞ
図録も3日に追加搬入したらしいからいっしょに買って家で追いむちむちしようぜ
>ぼくはこのペンギンコーナーに 〜 気にしないでほしい。
無理
1/44に2時間かけたので、総所要時間は…
めちゃくちゃ楽しそう……
上野公園は美術館や博物館たくさんあっていいですね。科博は常設展もとても広いので1日中いられますし
マカロニペンギンについてなのですが、現在うみの杜水族館には展示されておりません。公式サイトの表記確認したところ、ペンギンはフンボルト、ジェンツー、オウサマ、イワトビ、ケープのみでした。
どうやら2020年に山口県の市立しものせき水族館海響館へ貸し出しされたようです。参照元の記事を記載しておきます。
https://www.kaikyokan.com/cms/cp_sealife/20200128/
もしマカロニペンギンを見に来るつもりだった方はお気をつけください。
それはそれとしてうみの杜水族館は、有料にはなりますがケープペンギンの餌やり体験ができたりツーショット写真を撮れる水族館でありますので、仙台にお越しの際はぜひお立ち寄りください。
き、急にこっちをねぎらってくれるやん……
ゲムぼく。もいつもがんばっててお疲れさまやで、ただむちむち狂いにこっちを巻き込むのはやめてほしいかな、むちむち大好きクラブではないので。ラスオリではマーメイデンが好きなくらいなので、水着スキンは全部買ったくらいなので
このためだけに有給とるのもすごいし2時間そこいられるのもすごい
朝から行ってもあっという間に一日終わりそう
あの人ずっとペンギンコーナーにいるなあ
もしかしてスタッフかな?
東京に遊びに行くたびに一日は上野で使ってる
上野は科博も東博もじっくり見て回ったら常設展すら一日では回れないくらいのボリュームがあって、その上で面白い特別展がある
つまり何度行っても楽しめるということ
西洋美術館はいつも行きたいと思ってるが、改装中だったり展示替えの休館中だったりで一度しか行けてないのが悔しい
>あなたはえらい
ありがとうございます。
あなたもえろい。いつもおつかれさま。
漫画ハンチョウの
科博を舐めるな、と言う言葉を思い出す
もんのすごいディープな所だから
興味がある人は永遠に見ていられるんだろうな
1日1種やれば今年の間はネタに困らないね
むちむちのたわしってなんだよ(困惑)
鳥展、行こうと思ってたので助かります。
鳥展、行くわ。ゲムぼく。さんありがとう。
モネ展の覇権コンテンツ呼びに笑った
良いところですね。
マカロニペンギンについて海響館に貸し出されてることを書いてくださってる人がいるけど、海響館は現在改修工事中で閉館中です。来年の夏辺りに再開予定らしいのでお楽しみに。
お子様への愛情だけでなく、読者へのねぎらいも忘れないゲムぼく様が大好きです。貴方様に良い事があることを願っている一読者より。
ゲムぼくさんの生き物記事がむちむち記事と同じくらい好きなので大喜びで読みました。絶対鳥展回やってくれると思ってましたが前後編とは嬉しい誤算
科博の特別展だけでも2-3時間見るのに、常設展も見られるとなるともっと時間が必要だから、午前のチケットを取るのがおすすめです。
鳥展は行けてないから行きたい。
仕事帰りに見てたから急に労われてホロリときてしまったじゃないですか…ありがとうございます。
ペンギンのヒナまで見られるのすごくいいなあ。休みになったら行ってみようかな。
特別展2時間は全然あるけど特別展内の1コーナー2時間は結構な狂気を感じる