世の中には、追い詰められたり脅されたりして、誰もが同情するような経緯でやむなく犯罪に手を染めてしまった真面目な人がいる。
そういう人は往々にして刑務所内でも真面目なのだが、模範囚のような好待遇になっても早期の仮釈放などを望まず、逆により重い刑務を望むケースがあるのだという。
なぜかと言うと、自責の念が強すぎるあまり「自分は救われるべきではない、永遠に苦しみ続けるべきである」という考えを持っているからだ。
それはいわば一種の自傷行為であり「呪い」なのだが、ある側面から見ると「救い」でもある。
――ああ、救われるべきでない私が、無様に苦しんでいる。あるべき姿だ。ここまで苦しんで初めて、私のような人間は今日を生きることを少しだけ許されるのだ。
そう思えて、本人の気持ちが安らぐからだ。
そんな話を、まさかNIKKEを遊んでいて思い出すとは思わなかった。
期間限定イベント『MIRACLE SNOW』。
アークの街がクリスマスムードで賑わい始めた、ある日。
毎日記憶を消去されている実験体であるエヌ(N102)が、なぜか急に、記憶を保持できるようになった。
次の日になっても、その次の日になっても、食べたものや行った場所や、出会った人のことを覚えている。昨日はあれをやったから今日はこれをやりたい、と言える。まるで普通の少女のように。
記憶を持たず、しかし生来の賢さと優しさだけは気質としてあるために、これまでずっと他者を傷つけないよう「物分かりがよくて主張しない、いい子」をやってきたエヌ。
そんな彼女が「普通」になるということは、あまりにも普通でなく、むしろ奇跡と呼びたくなるほど喜ばしいことだ。
そしてエヌは、初めて物分かりがよくないことを言う。普通の少女らしくわがままを主張する。
「お母さんに会いたい」と。
しかし、エヌの母親アンジェリーナは、当時10歳だったエヌをミシリスの研究所に差し出し、ニケに改造することを依頼した張本人だった。
エヌは、母親の手引きによって人間でなくなり、毎日記憶を消去される実験体になったのだ。もちろん、記憶を持たないエヌ自身はそれをまったく知らないのだが。
アンジェリーナは、なぜそのようなことをしたのか。
ぜひ実際にイベントをプレイして確かめてほしいので細かい部分は伏せるが、個人的にどうしても語りたいところがあるので、そこだけ触れさせてほしい。
じつはアンジェリーナは、エヌの命を救うため、苦渋の決断でエヌのニケ化をミシリスに依頼した。
そして、ミシリス研究員からエヌの生命維持費用を不当に請求され、それが不当であると理解しながら、異議を唱えず払い続けている。いくつも仕事を掛け持ちし、身も心もボロボロになりながら。
これが、ものすごく「わかる」のだ。
「意味不明だ」「訴えればいいのにバカか?」と感じる人も多いと思うが、ぼくは深く共感した。たぶん、自責の念が過度に強い人や、自己肯定感がひどく落ち込んだ経験のある人は、同じく「わかる」のではなかろうか。
これは、彼女にとって「呪い」であり「救い」なのだ。
そうするしかなかったとはいえ、娘を実験体にした罪悪感。どうしようもなかったとはいえ、娘の人生を大きく変えた申し訳なさ。無力で、醜くて、おぞましい自分自身。
そのような自分が生きるためには、生きることがかろうじて許されるためには、苦しむべきなのだ。「そこまで苦しまなくてもいいのに」と思われるくらい苦しんでようやく、少しだけ生きてよいと思えるのだ。
NIKKEは韓国で製作されているゲームだ。
韓国の作品は映画でよく評価されている通り、「恨(ハン)」の文化が根底にあり、複雑で鬱屈とした人の内面、それがもたらす屈折した行動の描写に非常に長けている。
このアンジェリーナとエヌのエピソードは、そのなかでも珠玉と言えるとぼくは思う。
愛と憎しみ、自責と他責、悲しみと安らぎ、そして解放と束縛。人間の矛盾が、矛盾がもたらす葛藤と活力が、余すところなく詰まっている。
こんなに複雑なものを複雑なまま、しかし理解できるように描き切るというのは、さすがと言うほかない。
結論から言えば、このイベントの第2部までの後味は、多くの人が「悪い」と感じるはずだ。
少なくとも、よくはないだろう。第1部まではあんなに明るかったのにどうして、と。これじゃあ、けっきょく誰も救われてないじゃないか、と。
しかし、ぼくは「アンジェリーナにとっては、おそらくもっともいい終わり方だ」と思った。
多くの人は「アンジェリーナに普通に幸せになってほしかった……」と思っただろうが、ぼくが思うに、彼女はまだ「普通の幸せ」に耐えられる精神状態ではない。お金を払う必要がなくなったとしても、彼女はまだ、ある程度の苦しみを自分に与え続けなければ納得しては生きていけないだろう。人はすぐには変われないのだ。
でも、一歩は踏み出した。これからは少しずつ、自分を痛めつける度合いを緩めていけるはずだ。
ハッピーエンドというと語弊がありそうだが、ぼくはこれを充分に「いい終わり方」だと思った。
NIKKEはもともと、他のエピソードでも、型にはまったハッピーエンドをよしとしない傾向が強い。
ただ、それを「重い」とか「救いがない」とかの通りのよい言葉で丸めてしまうのは、ややもったいない気がしている。複雑なものを複雑なまま、しかし向き合えば理解できるように描き切ってくれるNIKKEのストーリーの魅力を、ぜひ追いかけてみてほしい。
ちなみに、今回のイベントの主役であるエヌ(とルピー)の特別衣装バージョンは、2022/12/28(水)までピックアップ募集の対象になっている。
最初は興味がなかったが、ここまで深い話を読まされるとさすがにほしくなる。いつもはおっぱいとお尻と太ももが大きいむちむちキャラにしか興味を示さないぼくだが、今回のエヌはそういうのに目が向かなくなるくらい魅力が
ウワアアアアアア!
でっか! ルピーのおっぱいでっか!!
ルピーピックアップ募集を最優先だ!
ウッ、ウッ!!
ウオオオオオオン!!
アッアッ!
救われる!!
救われるよ~! ルピーのぷるぷるお尻でぼくの心が浄化されちゃうよ~!
ルピーのお尻はメンタルウォシュレットなの~!?
コメント
オチが安定のキモさで草
ゲムぼく。さんが言うと重みがあるんよ。
もう色々と台無しだよ
今日も世界は平和
最後の発狂パートさえ無ければ完璧なレビューなのに
ゲムぼく。はむちむちの太ももに羽交い絞めにされてもっと苦しむべき
ギリギリまで本性を押さえ込んでよく頑張ったよ
最後が無ければ完璧だけど最後があるからこそのゲムぼく。
最後に色々と台無しにしないと気が済まないでおなじみのゲムぼく。
いやーゲムぼく。さんのイベスト感想読めてほんと良かった。お家芸も予想通りだしで満足
ここまで良い文章を書いたならオチつけなくても記事として成立してるのに
…あっ。
(綺麗なゲムぼくさんが)消えちゃう…
エヌに謝れ
途中までめちゃくちゃいい事言ってたのになー、最後の救われるで印象変わっちゃう
途中の綺麗なゲムぼくさんはクリスマスの奇跡だった…?
「スケベが無いと喜んでもらえないんじゃないか」と言う呪いから開放されてもええんやで。
途中までの読み応えあるレビューを
最後の2行だけでマイナスに転換できるの凄いと思う
ゲムぼくさんはどれだけ鬱屈した内面を抱えていてもゴムみたいにムチムチに引き寄せられるから信用しているよ
帳尻合わせやめろ
尻だけに
前半の重さがニケのシナリオ✕筆者ゲムぼく。さんの相乗効果でもうお通夜なんよ。
想像通り何もかも台無しにしてくるラストだった
ゲムぼく。氏も真面目な内容の最後に
性欲に支配されたレビュー入れるのが
救いであり呪いになってそうなのが闇が深い…
前半でさだまさしの償いが脳内に流れて下半身が敗北してしまいました…
ニャンカスファックしてないだけまだ理性があるといえる
最後のオチで前までの真面目な文章がチャラになると思ったら大間違いだぞ
正体見たりって感じだな
普段ふざけてるキャラが珍しく真面目な話するけど自分で耐えられなくなって結局ふざけてごまかそうとするあれ
オチが分かり切ってるので安心して読めることでおなじみのゲムぼく。
で、エヌは引いたんすか?
最後の部分が無いならこのブログである必要がないから最後の部分がメイン定期
複雑なゲムぼくさんを複雑なまま向き合える日が僕たちに来るのだろうか…
ルピーはおっぱいと鼠径部にほくろがあるからそれについて考察して?
このブログ自体が好きでやってる事なのかもしれないけど、
もし更新するのがしんどくなる事があったら、インターネットなど放っておいて、好きに遊ぶなり食っちゃ寝して欲しいすわ。
重いまま終わらなくて良かった
この手のゲーム紹介で一度としてまともなまま話を終えられたのを見たことがない。
なので前半の文章は要らないのではなかろうか。
この記事をメモ代わりに最後まで読んだエヌの目のハイライト消えるのが容易に想像できる
ストーリーは置いといてアンジェリーナさんその見た目で45歳はないだろと思いました
重みのある記事でしたね
ルピーの乳と尻が
今まで見た中で一番いいレビューなのに最後のせいで人に紹介できない
ブルアカネバーランドのときも思ったけど、示唆に富む洞察からの鋭いIQ降下によって複雑な刺激の記事になっている
クリスマスイベントなのにシナリオ読んで本気でキツかった
ポケ戦見た後のような絶妙な無気力感があった
それはそれとしてルピーで致した
感想自体は立派に書き切ってるから偉い
ぷるぷる助かる
ゲムぼくが自傷行為を語ると重みが違う
今にもこぼれそうになってた俺の涙に謝って?
茶化して照れ隠しするのかわいいね
ストーリーすんげえ良かっパイ
俺にもこの文章力があれば俺は最後でふざけなんかしないのに!!
ゲムぼく。はどうせ始めから最後まで真面目なレビューをすることは出来ないから一生性欲に従ったレビューだけ書いて♡
本当に最後さえ無ければと強く感じてしまうとてもいい記事でした。ルピーおめでとうございます。
何かいい話だった気がするけどお尻でウォシュレットしか思い出せない…
ゲムぼくさんとアンジェリーナ、境遇が大体同じ
これも一種の呪いなので見守るしかない
あぁ…消える…ってセリフがエグすぎてビビりましたね
涙が出そうになりました。
その思いを、分かる、と。言葉にしてくれる人がいるなんて、思ってもみませんでした。
私が言うのもお門違いではありますけれど、ありがとうございます。
最後の最後でヒップにメンタルウォッシュされるとも、思っても見ませんでしたけれど、
これはこれで、ああゲムぼく。さんだなぁと深く納得したのでした。
ゲムぼくさんのバックグラウンドを知ってると
「わかる」の説得力がありすぎてわかる
いつものゲムぼく。に文句を言いつつも、いざ真面目な話で終わると不安や不満を感じてしまう読者の心情こそが二律背反なのだ
最初の文章読んで「脳の病院に行かなくて大丈夫なんだろうか」と思ったけど最後読んでニッコリ。
これがゲムぼく。さんだ
うまく言語化してくれてありがとう…
これを「救いが無い」で済ませられる人は幸せな人生を送ってきた人だと思います
これが人間の持つ矛盾って事ね…
海外のむちむちゲーって
体重に比例してシナリオも重いの何でなんや
嫌いじゃないけども
サイト乗っ取られたかと思ったけど最後できちんと本人確認できて一安心しました
ニケのストーリーめっちゃ面白いよなぁ
ブルアカのシュン記事もあったけど
この人意外と頭悪くないんだよな
ニケのストーリーに対する深い洞察力、感受性、さすがと言う他ない。完璧な記事にこれからも注目
メンタルウォシュレットってなんや…
前半真面目すぎて後半のむちむち低知能化とバランスが取れてないぞ
「あれ?こいつ馬鹿を演じてるだけで実は頭いいのか?」って今日初めて心配になったけど最後まで読んだら馬鹿で安心した
どうせオチでネヴェに触れてネコるんだろうと思ったらそんな事はなかった、方向性は間違ってなかったけどら。
まさかのネヴェはゲムぼくEYEの範囲外……?
(他の方も言ってるけど、古参のゲムぼくファンにはゲムぼくさんの言葉の重みが理解出来るのがなんとも……なんだけど、一般人に古参ファンだと知られたら社会的に抹殺されそうなので絶対にバレたくはないよね。
ウォッシュレットによって衛生が保たれるということは、ゲムぼく。のメンタルはアスホールと同じ…?
最後で台無しにしなきゃちんちんが爆発する呪いにでもかかってるの?
読んでる此方もシリアスに耐えきれなくなってきた所だったからルピけつ助かる
ゲムぼく記事大賞にこれを投票させて欲しかった
ゲムぼく。さんも「自分のような短小包茎早漏亀頭ホクロがいい文章や感動的なテキストで高い評価を受けてはならない。最終的に下ネタやムチムチやアーーーーッッッで落とさなければならないのだ」という脅迫観念や呪いにかかってそう。
無類のムチムチ好きという深い業を性癖を晒すという罰をもって自分を許そうと藻掻いているんですね
なんて深いブログなんだ…
この悲しい贖罪を世界に晒したい
最後の尻ドアップとコメント見覚えがあるなと思ったら、これ夢に出てきてるんだよな……まさか中盤まで最高のレビューだとは思わなんだ
いい記事だなーと読んでたのに最後に研究員につかまって記憶リセットされちゃったの?
前半誰か分かんなかったが最後でゲムぼく。だと分かった
このブログは、作者が頭いいのはもちろんだけど、常連読者もほんとリテラシーが高くて、マナーが段違いに良い。だから居心地がいい。大好き。
個人ブログならではのオチ
通常の記事であれば最後は真っ先に削られる
Nガチャ回してなくて草
ゲムぼくへのいい記事だったなという想いもいつものゲムぼくによってNの記憶とともに消えちゃった…
考えなしにハッピーエンドと言える内容では無かったけどNの母親にとっていい終わり方だったと思うし個人的にはずっと回想に残して欲しいって思える良いストーリーでした。
ウオオオオオオンから読んだ
パパぼく。の側面を数年間読んでて勝手に応援してたから、前半のレビューの重みが凄かった
それはそれとしてお腹と太ももで抜いてて安心した。やっぱ虹のように儚いちんちんの持ち主は違うわ
韓国の恨って言葉知らなかったから勉強になった
この人まともな考察書けたんだ…
どうしてこうなった
お前はそれでいい
性癖を晒し続けているというところが致命的に捻くれているけど、物語への考察を鋭さは群を抜くゲムぼくさんをすこれ
最後の最後でヒップウォシュレットに頭の中のヒップ以外の事全部流されてる展開大好きです。それはそうとクリスマスエマちゃんを延々とつつく記事は何時くらいになりますかね?
知識てんこ盛りで面白かったわ
ぷるぷる桃酒
救われたんだから当然エヌも引いてますよね?
もし2人揃ってない場合ムチムチが来なくなる呪いが掛かります
くっそ…
「何だよ、クソ真面目な良いレビューも書けるんじゃねぇか…!」
って読み進めてたのに最後ぉ!!!
まぁある意味安心したけども!!!
意識を乗っ取られて闇落ちしてた人が小さなきっかけから主人格を取り戻すみたいで感動しました
その小さなきっかけが「ムチムチ」なところから目をそらす必要がありますが
いつものゲムぼくで安心した
それはそれとしてストーリーは好み
何食べて生活してたら「メンタルウォシュレット」なんて単語生み出せるの
温度差でヒートショックなりますわこんな記事
エヌのエピソードは救いがあるからマジで引いた全人類読んでほしい
シナリオの内容が内容だけに、普段に比べると若干暴走具合が抑え目に見える。エヌお迎えすればタガをはずしてはしゃげるよ〜エヌガチャもちゃんと回しましょうね〜
ゲムぼく。記事のなかでも過去最大級の落差だろこれ
ゲムぼくの真骨頂みたいな記事
白鶴に謝れ
「わかる」が重すぎる…
胸と尻のことしか考えられない人がエヌのストーリー読めたんだ・・・
正直今年の記事で一番好き