【前編】見て楽しい、学んで楽しい!国立科学博物館の鳥展に行こう!(前編)
ペンギンの展示を見ていたら、30分くらいのつもりだったのに2時間以上かかってしまった。
見通しが甘すぎる。新入社員のタスク管理か?
ほかにもたくさん展示はあるので、見て回らねば!
鳥類はぜんぶで44目(もく)あるらしいのだが、この国立科学博物館の『鳥展』ではそのすべてに展示がある。ここではペンギンは44目の1目にすぎないのだ。
ただ、もちろん、ここで見たすべてを紹介するわけにはいかない。ここで見に行った気にならず、ぜひ実際に行ってほしいからだ。
ここでは、特に印象に残ったところをダイジェストで紹介していく。
入場してまず見ることになるのが、「絶滅」の特集。
鳥類はさまざまな生物のなかでも特に環境変化の影響を受けやすいらしく、国際自然保護連合が指定する全30,000種のうち、なんと約14%を鳥類が占めているらしい。
日本人になじみ深いところで言うと、トキが有名だ。国内産の野生のトキはすでに絶滅しており、現在は中国から譲り受けたトキを飼育・放鳥することで、少しずつだが野生の個体数が増え始めている。
ちなみに、ぼくはペンギンが好きなのだが、日本の水族館・動物園でもっとも多いペンギンであるフンボルトペンギンも、じつは野生では絶滅が危惧されている。ぜひ水族館・動物園で見かけたら、グッズを買ったり募金したりして応援してあげてほしい。
1億年以上前にいた恐竜、ディノニクスの骨格標本。
「ディノニクスの名前は知ってるが、なんで鳥展に?」と思ったら、進化の系統的に、現在いる鳥の祖先はこのディノニクスらしい。えっ、プテラノドンじゃなくて!?
飛べる恐竜と言えばプテラノドンだが、あれは翼竜(よくりゅう)に分類され、すでに途絶えた系統らしい。ディノニクス自体は地上で生活する恐竜だが、これが進化していって鳥になったとのこと。ぜんぜん知らなかった。
標本のほか、さまざまな解説が各所にあるのだが、マンガをまじえながら平易な言葉でわかりやすく語られているので、「博物館って堅苦しそうでちょっと……」という人も安心。
たとえば、ペンギンには声を作り出す器官がふたつあり、それを組み合わせることで唯一無二の声を出して個体判別に使う『ツーボイス』という技術があるらしい。めちゃくちゃかっこいい。
ペンギンにはけっこう詳しくなったつもりでいたが、やはりまだまだ知らないことがたくさんある。これからも生涯をかけてペンギンと向き合い続けていきたい。理由はペンギンがむちむちボディでかわいいからである。
身近な種から希少な種まで、計600以上の標本展示があるので、ぜひしっかり見よう!
おっ、ウミネコいる! 最近『けものフレンズ3』で仲間にした! かわいい!
あっ、クロトキ! クロトキちゃんいる!
これも『けものフレンズ3』で見たからわかる!
カツオドリもいるぞ!
ぼくはアパレルブランドのCHUMS(チャムス)が好きなのだが、チャムスのロゴはカツオドリである。よくペンギンと誤解されているが、あれはカツオドリであると公式が明言している。
お~、オナガだ! 名前の通り、尾羽が長くて美しい!
オナガと言えば、『アリス・ギア・アイギス』の尾長 晶乃(おなが あきの)は専用ギアの一部にオナガなどの鳥の意匠が取り入れられている。
ハクトウワシだ! アメリカの国鳥であり、正義の象徴!
対戦格闘ゲーム『ギルティギア ストライヴ』ではキャラクターセレクトの後に鳥が飛び立っていってシーンが変わるが、あの鳥はハクトウワシである。
……ん? これは……エトピリカか。
最近、なにかで見たような……あっ!
北方領土イメージキャラクター エリカちゃんだ!
愛らしい見た目と強い主張でおなじみのエリカちゃん!
このように、鳥は我々にとって身近な生物であることもあり、鳥が登場する作品や鳥をモチーフにしたキャラクターも多いので、600種もの標本を見ていれば必ず「あっ、これは〇〇で見たことある鳥!」というのが見つかる。これだけでもかなり楽しい。
また、ペンギンのときもそうだったが、近縁の種は基本的に隣同士に配置されているので、見比べて観察するのが楽しい。
ハシブトガラスとハシボソガラスはどちらも日本によくいて、日常生活で見かけても「あっ、カラスだ」くらいにしか思わないが、こうやってよく見るとクチバシの太さがけっこう違うことに気づく。
今後はたぶん、日常でカラスを見かけたときに「おっ、あれは……ハシブトかな?」みたいに考えることができるようになるはずだ。ささいな違いを感じ取り、考えることができるようになるというのは、とても幸せなことだ。
解説でいちばん「えっ、そうなの!?」と感心したのは、「鳥にも方言や言葉がある」というもの。
同じ鳥でも、地域によって鳴き方が少し違うらしい。そのうえで、たとえば「ヘビだ!」を告げる鳴き声と「タカだ!」を告げる鳴き声は違っていて、なかには人間でもその違いが聞き取れる場合があるらしい。
一例として、シジュウカラはヘビを警戒するときは「ジャージャー」と鳴く、ということが書かれていた。日常生活でシジュウカラに会う機会はあまりなさそうだが、鳥の鳴き声ひとつひとつにも想像以上に意味があるのだと考えると、さえずりを聞くのが楽しみになってくる。
鳥展の最後には、おすすめの野鳥観察スポットや、各都道府県の県鳥情報などの展示がある。
県鳥というのがあるのは知っていたが、言われてみれば自分の出身地の県鳥は意外と知らないものだ。ぜひこの機会に見て覚えておこう。
いやはや……ホントにすごかったぞ、鳥展!
ペンギンで2時間、ほかで2時間。合計で4時間くらいいたが、それでも「ペンギン以外のところ、もうちょっとゆっくり見てもよかったな」という感想になったくらい、すさまじい量の展示と学びがあった。
そして、いまさら気づくのもどうかとは思うが、「博物館って、楽しいな」と思った。
どうしても「学問」「研究」のイメージが強かったが、「娯楽」として行っても楽しいし、むしろ娯楽としてどんどん行ったほうがいいと思った。
展示されているすべてをくまなく見ることは難しいし、そのなかで覚えて帰れるものなんてたった数個程度かもしれないが、そのたった数個が、今後の人生で見る景色を、聞く音を、少しずつ豊かにしてくれる。
学ぶ楽しさってこういうことだよな、というのを改めて教えてもらった。
そう考えると、2,100円の入館料はめちゃくちゃ安い。この時点で常設展のほうにはまだ行っていないのに、もうこの満足度だ。
最初、2,100円に常設展の料金も含まれているのを知らずに常設展単体のチケット(630円)も別に買ってしまったので「もったいないことしたな」と思っていたのだが、いまは「常設展のチケットは有効期限までしばらくあるし、これだけ楽しいなら近々もう1回は来たいから、そのとき使おう」と思っている。なんなら、「もう1回」で済めばまだマシだとすら思っている。2~3回は来てもおかしくない。
これならいっそ、実質タダと言ってもいいほどだ。
少なくとも、この鳥展を「高い」なんて言う人は、絶対にいないと言ってよい。
……
…………
ぼく「これお願いします。あ、袋は限定のショッパーでお願いします」
店員さん「5,356円になります」
あれっ!? 気がついたら5,000円以上なくなってる!
鳥展、高い!!
コメント
愛知の県鳥コノハズクなんだ、だから警察のイメージキャラもコノハズクなんだ、納得
博物館とかたまに行くとめっちゃ楽しいんだよなー、行きたくなる
お土産沢山ですね〜。
こういう特別展に行くとつい散財して気付いたら余裕で5000円超えちゃうのわかる
ゲムぼくさんのやってるゲーム鳥多いな
まさかエリカちゃんをここで見ることになるとは思わなかったw
ッッピッッ ッッッピッ ピッピピ ッピ ピピッピ ピッピピ ピピ ッッ ピッピッ ッッッッ ッッピピッ ピピ ッッッピ ピピッ ッピ ピピ
>ささいな違いを感じ取り、考えることができるようになるというのは、とても幸せなことだ。
「あっ これはよもぎだな。
ああ……草がわかるのってすごく自分がうれしいな」のやつと同じ方向の考えだ。
鳥展という文字を見続けたせいか、とり天が食べたくなった
今ならニワトリ知識を骨の髄までしゃぶりつくす自信がある
このあとアメ横やお隣りの秋葉原でさらに散在してしまうまでがセット
こういう企画展のグッズは図録だけで我慢するようにしてます…
図録は高価なのだと5、6000することもあるから科博の特別展は実際とても安いのよ
入場料に常設チケットにグッズまで買う理想のオタクの姿。
ありがとうな!(チケットやグッズの売り上げが好評なら地方開催や第2回をやってくれる確率が上がるため)
ピピッピピ ッッピ ピピッッ ッッッッ ピピッピピ ッピピピ ピピ ピッピッッ ピピ ピッピピ ピッ ッピッ ピッピッッ ピピ ッピッピピ ッピッッピ ピピッピピ ッピピピ ピッピピピ ッピピッピ ッピッ ピッピ ピッピピ ッピ ッッ
展示内容を手元に残して後で何度でも読み返せるという意味で、図録も実質タダと言ってもいい良い買い物です。科博のものは内容もきちんとしている。
常設の展示やミュージアムショップも素晴らしいので、次もきっと楽しい時間が過ごせると思います。
エトピリカはアリスギアコラボの時大洗水族館で見たっすね 可愛かった
そして後々思想の強すぎるキャラクターにされてたの見てびっくりした
いや思想がこえーよ
44分の1を2時間。44分の43を2時間。配分・・・
思想が強いというのは間違いだぞ!(北方領土が日本だというのは偏った思想ではないため)
主張が強い?まあそれはそうかもね…。
科博の常設展は鳥類や哺乳類などの標本や剥製、化石なども展示されているのでオススメです。実験装置を楽しめるコーナーもあるのでお子様とも楽しめると思います。
建物内のレストランは普段から混んでいることが多いのですが、奥の席ではむちむちクジラを眺めながら食事ができます!
いや文鳥モールスをみせられて冷静に解読始められるの隊長だけだからね・・・?
普通にいい話で終わりそうだと思ったらちゃんと落ちが着いた
万越えないなら安くない?と思ってしまった、こういうところのお高いイメージ
コメ欄に鳥類おるな……
(イラスト中の例え表現とは分かってるけど)ペンギンが「ヘイ、尻〜!」って鳴いてる!!
ペンギンの中にもゲムぼく。みたいな個体が存在するというのか…?
鳥展見てから常設の恐竜ゾーン行くと、お前たちの進化の行く末を知っているぞ…と腕組み霊長面できるのでオススメ
ゲムぼく。特有の1秒見るたびに○○円儲かるから実質タダ理論好き
記事にしてくれてありがとう、鳥展はマジで最高だから皆行こうな!標本大量だから鳥のことが分からなくても眺めてるだけで楽しいぞ。
主張の強いエリカちゃん・・・。
何時ぺんぎんぎんが登場するか身構えながら読んでいたんだが、出てこなかったことに安心したと同時に一抹の寂しさも感じた。
ワシさんかっこE!!
この標本見るだけでも行く価値がある
エリカちゃんの主張の強さで今年初めて心の底から笑いました ありがとうございます
絶滅危惧種でいうと、上野動物園にニホンライチョウがいます。
モフモフのムチムチなので是非。
シジュウカラは東京23区にも結構いますよ
確かに警戒音のジャージャーを聞ける機会は滅多にないですが、ツピーツピーという可愛いさえずりをぜひ探してみてください