
出典:https://www.maebashi-witches.com/story/
ウィーアー……

出典:https://www.maebashi-witches.com/
前橋ウィッチーズ!

出典:https://www.maebashi-witches.com/story/
大好き、赤城ユイナ!
2025春のTVアニメ『前橋ウィッチーズ』を全話観た。
最初は「エアロバイクを漕ぎつつゲームをやるついでに流しておくか」くらいのつもりで観始めたのだが、最後にはエアロバイクもゲームもやらずに集中して観るようになっていた。
同作は、ジャンル的には「青春×魔法少女×アイドル×ご当地」みたいな感じ。要素が多い。
群馬県前橋市に暮らす5人の平凡な女子高生が謎のマスコット「ケロッペ」にスカウトされ、魔女見習いとして不思議な花屋をオープンさせ、訪れる人々の願いを叶えていく……という話。
基本的には、お客さんの願いを1話完結型で叶えていきつつ、その過程や結果を通じて5人それぞれの掘り下げや関係性の深化が描かれていくことになる。

出典:https://www.maebashi-witches.com/
作品のキャッチコピーは、「欠点ばかりの私たちが、無敵になれる場所」。
第1話の時点では「言うほど欠点ばかりか?」という感じなのだが、話が進むごとに、それぞれの抱える「欠点」が描かれていく。

出典:https://www.maebashi-witches.com/character/
家庭が貧しくヤングケアラーでもありつねに身体と心をすり減らしているが、長女という立場と周囲への配慮からしんどいときにしんどいと言い出せないチョコ。
自身の体型・体質に強いコンプレックスと苦しみを抱えており、それが他者への攻撃性に転じてしまうアズ。
裕福な家庭で両親から将来への期待を押しつけられることに抵抗を覚えるが、その環境がもたらす恩恵には無自覚なまま「自分らしさ」を求めたがるキョウカ。
物事を一歩引いて見る現実主義者のようだが、そう見える理由は判断軸が自分の中になくすべて憧れの人物を基準にしているだけという強烈な他者依存性を持つマイ。
そして、ひたすら明るくひたすらうるさく、なんの悩みも苦労もなくいまを楽しく生きることだけしか考えていないようにしか見えず、周囲からウザがられるユイナ。
正直、この時点でもう、わかりやすく万人ウケするようなアニメではないと思う。5人が5人とも、だいぶクセが強い。
特に、主人公であるユイナのクセはとんでもない強さだ。

出典:https://www.maebashi-witches.com/story/
ぼくが最初の数話を見たときの感想は、「ぼくはユイナがダントツで好きだけど、『ユイナがどうしても無理で観るのやめた』って人もけっこういそうだな」というものだった。
ぼくの目線ではユイナはめちゃめちゃ大変な生き方を選んでいるのだが、おそらく世の多くの人から見ると、ユイナはいちばんラクに映るはずだ。ポジティブすぎて、もはや人の心を持たないバケモノのようにすら見えるだろう。「あいつはもう別の生き物だから」みたいな。
実際に作中でも、ユイナは周囲からそういう扱いをされていた時期があったようだ。ユイナのことはどんなに邪険にしてもいいし、なにを言ってもいい。
だって、あいつは人間ではないので。なにを言っても傷つかないので。

出典:https://www.maebashi-witches.com/story/
そんなわけねぇだろ!
ユイナは人間だよ! もともとポジティブに生きる素養は多少あっただろうけど、ただそれだけなんだよ!
自分がポジティブでいることで周りが喜んでくれて、それがうれしいからもっとポジティブでいようってなって、それがエスカレートしていくうちに嫌われることも出てくるけどそれ以外の振る舞いなんてわからなくて、そもそももともとなにも持ってないのにポジティブですらなくなって周りに悪意を振りまくようになったらいよいよ自分に存在価値なんてないわけで、誰かに相談したってその人を困らせちゃうだけだから自分でどうにかするしかなくて、でもそうなると考え続けたってしょうがないし、自分はまあほかの人よりは傷つけられることに慣れてて耐性があるほうだし、だからまあ自分が割を食うのは多すぎなければぜんぜんいいかなって思うし、気力や体力もまあまああるほうだと思うし、もしなかったとしてもとりあえずあることにして、ポジティブに生きてこ~!
ってなってるだけなんだよ! 大変なんだぞ! それはめちゃくちゃ大変な生き方なんだぞ!
そしてこれが、ぼくが赤城ユイナを好きな理由そのものである。
こんなポジティブモンスター改めポジティブピエロみたいなユイナがなぜ好きかと言うと、人がキャラを本気で好きになるときはだいたいそうだと思うのだが、自分を重ねてしまうからである。

出典:https://www.maebashi-witches.com/story/
ふつうの人のポジティブ度を50点だとしたら、ユイナはもともと70点くらいのポジティブ度はあるだろう。そのうえで、それをむりやり引き上げて、ポジティブ度100点の振る舞いをし続けているように見える。ぼくもそうだ。
ただ、周りの人から見ると生来のポジティブ度100点にしか見えないし、「仮に生来が70だとしてもその時点でふつうより上なんだからガタガタ言うなよ」と思われてしまうので、ユイナの努力が周囲に認められることはない。むしろがんばればがんばるほど、なにも考えずラクに生きているようにしか見えなくなるので、いくらでも茶化したりバカしたりしていい空気になる。ぼくもそうだ。この記事だって、「ゲムぼく。のくせに真面目な話してる」「なにかの前フリか?」とコケにされることはわかっている。
が、ユイナは「まあほかの人よりはいちおうポジティブで耐えられるほうだし、誰かを攻撃しなきゃやってられないって人もいるんだろうし、自分だって知らないうちに誰かを傷つけてるかもしれないんだから、いっか~!」で済ませてしまうので、周囲の「あいつにはなにを言っても大丈夫」という認識はますます加速する。ぼくもそうだ。だいたいのことは「まあ、いっか~!」と思っているので、コケにされるとわかっていても真剣に記事を書く。
そして、そのうち幸運が巡ってきて、ユイナの努力に気づいてくれたり、「まあ努力うんぬんはよくわかんないけど、なんやかんや元気もらってるし、好きだよ」と言ってくれたりする人が現れて、「えっへへ~! やった~!」となって、毎日が楽しくなる。ぼくもそうだ。毎日とても楽しく生きている。

出典:https://www.maebashi-witches.com/story/
ぼ、ぼくは赤城ユイナだったのか……!?
ぼくがユイナで、ユイナがぼくで……違いなんて、ぼくがかわいい女子高生ではなくアニメの女子高生を勝手に考察して勝手に自分を重ねるやばいオタク成人男性だということだけなのでは……!? その違いはだいぶ致命的なのでは……!?
まあとにかく、ぼくは「生き方が不器用すぎて努力にまるで気づいてもらえない人」が好きであり、赤城ユイナはその典型なので、大好きである。
作中でもユイナはめちゃくちゃに不器用すぎて、ポジティブモンスター扱いされまくっている。ただ、ユイナ本人はそれ自体は悪いこととは思っておらず、たびたびウザがられるが最終的にはユイナの明るさに救われた人は少なからずいて、前橋ウィッチーズのメンバーも「あいつやっぱりやばいやつではあるけど、私は好きだよ」みたいな評価をしてくれているので、ユイナよかったね、とぼくは思っている。我々ポジティブモンスターを演じるポジティブピエロにとって理想的な環境と人間関係である。

出典:https://www.maebashi-witches.com/story/
ユイナの話に終始してしまったが、前橋ウィッチーズの好きなポイントはほかにもいくつかある。
ひとつだけ挙げておきたいのは、「たいして問題が解決しないこと」だ。
これは全12話を通して、ずっとそう。いろいろな問題が起きるが、キレイさっぱり解決するものはほとんどなくて、なんなら「難しいから保留!」となってしまったものすらある。
けっきょく魔法があろうとなんだろうと、一瞬で願いが叶って人生が好転するなんてことはなくて、せいぜい自分の気の持ちようがちょっと変わるくらい。この世にわかりやすい悪人はいないし、これさえクリアすれば万事解決みたいなこともない。世の中はそんなにカンタンじゃない。けっきょく、ぜんぶ自分しだい。
でも、だからこそ。応援って、いいよね。誰かが背中を押してくれて、ちょっとだけだけど気の持ちようが変わるって、じつはとってもすごいことだよね。
これは、ウケるかウケないかで言うとやっぱり万人ウケしないメッセージだとは思う。わかりやすい諸悪の根源がいて、それをズバッと断罪してすべてがうまくいったほうが、絶対にスッキリするのでウケはいい。
でも、ぼくはこのメッセージが好きだ。かつて『花咲くいろは』を観たときにも近いメッセージを感じた。同作は、ぼくの人生観にもっとも大きな影響を与えたアニメのひとつである。

出典:https://www.maebashi-witches.com/story/
そして、「けっきょく魔法があろうとなんだろうと」という考え方があるからこそ、前橋ウィッチーズの5人は、魔法を道具としか捉えない。魔女になることを手段としか思わない。
「本当にやりたいことのために魔法が役に立つんだったら使えばいいけど、別に魔法を使うことや魔女になることが大切なわけじゃないよね」というスタンスを彼女らは最後に示し、物語は終わりを迎えていく。別にそういうことをユイナが言ったわけではないが、言っていてもぜんぜんおかしくない。なんなら言っていたような気すらしてきた。たぶん映っていないだけでどこかで言っている。
そりゃあ、100点満点のキラキラの人生がいいなってみんな思うだろうし、実現できたらすごいだろうけど、でもそれは大変だし、そもそも自分にとっての100点がなんなのかだってわからないし。もしかしたら、人生の途中でめざしたい100点が変わっちゃうかもしれないし。
だから、なんだっていいんだよ。自分なりの100点をめざしてもいいし、急に違う方向の100点をめざしてもいい。100点じゃなくて70点をめざしても、50点の現状維持でも、あるいは下がっちゃったっていい。なんなら点数なんて気にしなくていいし、そもそも点数なんてないのかもしれないし。
とりあえず、私は私なりに、こうして生きてみることにしたよ。あなたがどうするのかはわからないけど、どうするとしても、あなたのこと、応援してるね。

出典:https://www.maebashi-witches.com/
前橋ウィッチーズとはそういう作品であり、赤城ユイナとはそういう主人公だな、と思った。
大好き、前橋ウィッチーズ!





コメント
急に前橋ウィッチーズの話が来て困惑してるけど嬉しい
ゲムぼく。さんが前橋ウィッチーズを取り上げてくれてうれしい。
興味を持たれた方、ユイナとアズがクセ強なので序盤のハードルが
高めに感じるけど、2話の最後まで観てみてほしい。
マイナーだけどちゃんとしてる作品を取り上げるゲムぼくのスタンス好きだよ
たまにちゃんとしたコンテンツを取り上げるとこあるよね
「あいつやっぱりやばいやつではあるけど、私は好きだよ」ゲムぼく。氏に対してそう思ってる方も多そう
最終回最速で見たのかな
いいアニメだったよね
確かに花咲くいろはの緒花もちょっとこういう感じではありましたね
ゲムぼく。さんはむちむちよりこういうキャラに入れ込んでる時の方がやべぇよなあって思うことある
あんたほどの男がそういうなら全話見てやろうじゃねえか…
ユイナとゲムぼくさん、喜怒哀楽の怒と哀が欠落してるように見えるのは似てるなと思った。普段の記事見てても思う。
前橋ウィッチーズ、今期一番内容に評価が追いついてないアニメだと思ってます
ゲムぼくは人間だと思われてないのは割とそう
実在してるのか良く分からないし
前橋ウィッチーズだ!ありがとうございます!
久々にいいオリジナルアニメに出会った満足感ある
普段のコメント欄でのバカにされようを見てると
この記事の説得力が凄いな…
地元民として、こんな良いアニメ作ってくれたバンダイと素敵な記事にしてくれたゲムぼくに感謝を
それはそれとしてタイトルの時点で絶対アズにアーアー言う前振りだとしか思えなかったのは普段の行いのせいだとおもいます
ユイナに感情移入する人初めて見た
記事読み終わってそういえばここゲムぼく。だったわとなった
確かにそういう人間には何言ってもいいと思ってる人間は多いし、ゲムぼく。には何言ってもいいと思ってるユーザーもいるよな…と自省させられるいい記事だった
どちらも楽しく過ごしてほしいものだ
こういう記事にすら馬鹿にするコメントが付く辺りが
本当に人と思われてない証明になってるのが凄い
せっかくだから前橋に遊びに行こうぜ!
この作品のテーマ性を考えるとアズアズに安易な触れ方しにいくんじゃなくユイナにどっぷりなゲムぼく。の手つきを信用しているんだ我々は
大好きなアニメだったので記事にしてくれて嬉しい…嬉しい…。
語彙不足でうまく伝えられないけど、ゲムぼくさんやユイナのハッと気付かされるような格言が本当に好きで、仕事の辛い時にはよく思い出して力をもらってます。
(そう思ってたらよもや本人が記事にしてくれるとは)
今年のゲムぼく。大賞の投票先がまた一つ増えたな
この際前橋来いよ…!
…ごめんやっぱり来るのは高崎でいいよ
「これ、面白いと思ってコメントしてるんだろうけど結構すごいな」と思うコメントをする人達はおそらく「ゲムぼく」というコンテンツとして見ていて、「画面にいる向こう側の人は自分と同じく喜怒哀楽のある生きている人」だという当たり前のことが薄まってしまうんだよな、インターネット…
「好きな人は度々言ったりすることは少ないけど嫌いな人はわざわざ度々言うので、ネットで活動している人のところにはどうしてもマイナスな意見が集まりやすい」というのをどこかで見たのを今思い出したのでわざわざ言っていかなきゃなとこの記事を見て感じました。
ゲムぼく。さん好きです。
前橋ウィッチーズ、後から評価されてしばらく後に劇場版作られるタイプの作品な予感がしてる
前橋ウィッチーズもっと流行って欲しいのでこうしてゲムぼく。さんに記事にして頂けて嬉しい
私もゲムぼく。さんとブログ記事とラスラジが好きですよ。
ゲムぼく好きだぞ…
この記事読んでふと応援メッセージを書きたくなったので置いておきます
げむぼくさんってまぁ多少スケベでムチムチ好きかもしれないけどそれを自分の自己顕示欲のためにその自分を強調してインターネットピエロやってるけど
でも芯の芯では真っ当で日々自分の目標にむけてコツコツと努力できる人だし報われない人を見つけてその美しさを言語化し明かりを向けられるかっこいい人であってすごく尊敬してます
あと昔の記事を読むとやっぱり昔見つけた光とは違う光ったところが見つけられてそういう文章書けるげむぼくさんは尊敬してます
これからも頑張ってください応援してます
あと個人的にピエロしてる文章よりも書くのが大変だろうけどあなたの真面目な文章に魅了されたからこのブログ追っているので真面目な文章とても楽しみにしています
今回のものもとても良かったです何度も噛み締めます
がんばれ!
正直な話、色気を前面に出した作品ではないので意外に思ってこの記事開いた すみません。
だけど心の奥の部分にしっかり刺さってるのが伝わって、凄く分かるしうれしい
彼女達のこと、誰かにはピンとこなくても誰かには重なってしまうような、多角的な立場や心情の難しさを真摯に描いた作品だと思う
ぼくはキョウカさんがだいすき
雑談動画で前橋ウィッチーズおすすめした人です。
こんなに気に入っていただけてうれしいです。
私も自認が赤城ユイナですが、赤城ユイナに救ってほしくもあります。赤城ユイナ救ってもいいよ〜って赤城ユイナに出会う日を待ってたんだとこのアニメ見て気づきましたね。
前橋ウィッチーズはいいぞ…
コケにされる事が分かっていても応援したいものを応援する
完全にユイナだよ
aikoといい前橋ウィッチーズといい
予測不可能な所から熱い記事が飛んできて面白い
>「生き方が不器用すぎて努力にまるで気づいてもらえない」人が好きであり、赤城ユイナはその典型なので、大好きである。
ゲムぼく、好きなキャラの方向性が一貫してて好感が持てる
ハナコ・ドロシー・ユイナか
素晴らしい記事でした…
ユイナはキャラが強烈すぎるので視聴者からでさえモンスター扱いされる事がありましたが、他と変わらない一人の人間として向き合ってくれる人がいて感動しました。
自分はまあほかの人よりは傷つけられることに慣れてて耐性があるほうだし、だからまあ自分が割を食うのは多すぎなければぜんぜんいいかなって思うし、気力や体力もまあまああるほうだと思うし、もしなかったとしてもとりあえずあることにして、ポジティブに生きてこ~!
↑この辺、凄くゲムぼく。さんっぽいなと思ってしまった。自分が人より多く負を背負う事に抵抗が無い感じ。
前橋ウィッチーズ、本当にいい作品だった
みんなに薦めたいけど押しつけるのは作品のメッセージ性に反するから布教が難しい…
いい話だ
いいレビューですね。とりあえず一話見てみます
ごめんなさい。なんか自分と違って楽に生きてるなって思ってました。ポジティブに振舞う人の明るさに助けられてきたことが多かったのに。この記事を見せてくれてありがとう。
ユイナさんのフィギュアとぬいぐるみがプライズになってるの見ました。可愛いなーと思って見てましたが実はこんな頑張りやさんな子だったんですね。教えてくださりありがとうございます。
なんかゲムぼくを抱きしめたくなった
うわああああああああああああ前橋ウィッチーズ!!!!!
本当にいい作品ですよね。
そして素晴らしいレビューを書いてくださったゲムぼくさんにも感謝。
良いレビューでした。ありがとう
ええやん…
この記事を見て、前橋ウィッチーズを全部視聴しました!最初は地元がアニメになっていることへの好奇心で見始めたのですが、思った数倍面白かったです。みんな大好き!こんな素敵なアニメを紹介してくださってありがとうございます!!We are 前橋ウィッチーズ!!
前橋ウィッチーズ好き
1話のテンポがぶっ飛んでたり序盤のアズが棘ありすぎたりで脱落する人多いのは分かるけど、アニメがあんまり触れないテーマに挑戦してて良いよね