
札幌のホテルから、タクシーで円山動物園に向かう途中。
車内での、運転手さんとの会話。
「きょうは市内の観光ですか?」
「そうですね。円山動物園に行ったあとは、なんでしたっけ、藻岩山(もいわやま)? あれのロープウェイが近いらしいんで行ってみようかなと」
「おお、いいですね。藻岩山は、昼間ですよね?」
「そうですね。動物園のあとなので、お昼くらいのつもりです」
「藻岩山は、夜景がいいので夜がおすすめなんですよ。もし昼だったら、私は大倉山のほうがおすすめですね」
「大倉山っていうのがあるんですね。近いんですか?」
「はい、円山動物園からバスも出てますよ。いまはオリンピックミュージアムっていうのも併設されてましてね」
「へえ~!」

ここが……大倉山ジャンプ競技場!
運転手さんの言っていた通り、円山動物園からバス1本ですぐ来られた。
もともとの予定では藻岩山に行くつもりだったが、旅行は「流れ」に乗るのも醍醐味だ。地元の人、それもタクシー運転手という土地勘のプロの言葉は信用してよいだろう。

ここは、ざっくり言うと「スキーのジャンプ場」で、それに付随して「リフトでの展望台」や「オリンピックミュージアム」がある感じのようだ。
周りを見渡すと、観光客がほとんどだが、1~2割くらい、動きやすそうなジャージを着た高校生~大学生くらいの人たちもいる。ジャンプ競技の練習でここに通っているのだろう。もしかしたら、未来のオリンピック選手がいるかもしれない。

まずは、オリンピックミュージアムを見てみよう!
「くらやん」というゆるキャラっぽいマスコットが出迎えてくれる。おにぎりの形に見えるが、大倉山の形らしい。かわいい。かわいいけど脚部のやる気のなさはどうした。

展示には、無料エリアと有料エリアがある。
無料エリアにあるのは、東京オリンピック2020のメダルや各種資料だったり、

オリンピックで活躍したアスリートたちの食事や生活に関する展示だったりと、これだけでもけっこう力が入っている。

有料エリアのほうは、札幌らしく、冬季オリンピックに関する展示が中心。
歴代の冬季オリンピックで実際に使われたユニフォームや用具のほか、1972年に行われた札幌オリンピックの貴重な史料も!
そして、ミュージアム内でいちばん楽しかったのが……

なんか体験型マシーンがある!
これは……

大倉山のジャンプ台を再現した、スキージャンプゲームだ!
有料エリア内にあり、遊ぶのに追加でお金はかからない。人が並んでいなければ何度でもできる。

ジャンプのタイミングに合わせて脚に力を込めて飛び出し、スキー板をVの字に広げて滞空時間を伸ばす!
さすがオリンピックミュージアム内にあるだけのことはあり、映像も器具も本格的。まずは子どもたちがやり、そのあとぼくもやってみたが、速度や風に応じた抵抗のようなものが脚にしっかり感じられて驚いた。キレイにVの字に開くのがかなり難しい。

クロスカントリーもある!
息子「3人同時プレイできるっぽい」
娘「勝負しよう」
ぼく「フフ……あなたがたには敗北をプレゼントしましょう……」

息子「やった! 1位!」
ぼく「ギィィィィ! 0.5秒差!」
娘「敗北プレゼントされとるやん」
ぼく「グギィィィィィ!!」

よし……
じゃあ、いよいよ登ってみるか! ジャンプ台の上にある、展望台に!

登ると言っても、歩くわけではなく、リフトに乗って行くだけなのでカンタン。
標高にして300mほどであり、5分もかからず着くようだ。
娘「ひとりで乗ってみたいから、先に乗っていいよ」
ぼく「えっ、いいけど、大丈夫? 子どもにはけっこう怖いかもよ。まあ、じゃあふたりで先に乗るか」
息子「オッケー」

ぼく「ギィィィ! これけっこう怖くない!? 安全バー遠くない!? ずり落ちませんか!? なんか揺れてない!? ア゛ッ! ウ゛ッ!」
息子「うっさ」

ハァ……ハァ……
ぼく「お疲れ。大丈夫だったかね。さすがに子どもひとりでは怖かったのではないかね」
娘「わめいてるの後ろにも聞こえてたよ」

上まで登ると、屋内展望ラウンジやカフェがあり、その屋上が屋外展望台になっている。
せっかくなのでカフェで休憩し、そのあと屋上へ。

おお! すごい景色だ! 札幌市内が一望できる!
標高300mと聞くとそんなに高いイメージがないが、実際に登ってみるとかなり高い!

……おっ、なるほど?
もともと登ろうとしていた藻岩山がすぐ近くにあるらしい。

あのへんか!
なるほど、藻岩山のほうが市街地に近いので、夜景を見るには確かによさそう。ただ、見晴らしがよい昼間は大倉山のほうが広く見渡せる。
ジャンプ台、オリンピックミュージアム、カフェなどが充実していることをふまえると、「日中なら大倉山、夜なら藻岩山」というタクシーの運転手さんのアドバイスはかなり的確だったと言えそうだ。

まっすぐ奥に伸びて見える緑は……大通公園かな?
こうやって見ると、わかりやすいな。最近は各都市の均一化が進んで、なんとなく雰囲気の似た街が多くなっているが、札幌は土地の広さと大通公園の存在により、独自性が高いように感じられる。

しかし、これ……ジャンプ台の出発地点に立つ自分を想像すると、恐ろしすぎるな。下がほぼ見えない。垂直落下にすら思える。
「斜度(しゃど)」と呼ばれる角度は35~37度で、我々が日常生活で「急な下り坂」だと感じるのはせいぜい5~10度らしいので、とんでもない急角度だ。
そのうえで、実際に見てみると幅がとんでもなく狭い。飛び出す際に少しでも左右どちらかに力が偏ったらコースから出てしまいそうだ。スキージャンプがケガや死と隣り合わせの競技であることを思い知らされる。

でも、不思議なことに。
ここがかつての札幌オリンピックで使われた場所だからか、それとも未来のオリンピック選手を生もうとしている場所だからか。あるいは、その両方か。
なぜか、「恐怖」よりも「勇気」を感じる。パワーをもらえるというとオカルトっぽいが、漠然と「自分もがんばるぞ」という気持ちが湧いてくる。

息子「下り、ひとりで乗ってみようかな」
ぼく「おっ、すごいね。勇気だね。上りより下りのほうが怖い気がするけど、大丈夫?」
娘「まあ大丈夫でしょ。先にふたりで乗ろう」
ぼく「オッケー。怖いかもしれないけど、勇気を出して、がんばって!」
そう、勇気!
ありがとう、大倉山ジャンプ競技場! この場所にもらった勇気があれば、

ぼく「ギィィィ! 言ったじゃん! 上りより下りのほうが怖いって! ほら見ろ! ほら見ろ! ギャヒッ!? なんで急に止まったの!? えっ、高齢者の方の乗り降り!? まあそれはしょうがなギャヒッ! なんで急に動き出すの!? 急に止まるのも怖いけど急に動き出すのはその何倍も」
娘「うっさ」

勇気があろうとなかろうと、怖いものは怖い。












コメント
ロープウェイは乗れるけどリフトは絶対乗れない
あれどうして落ちないんですか…?
久々のパパぼく。回にホッコリ(^^)
そしてお子さまたちの成長を親戚のおじさん目線で見てしまう…
スキージャンプゲーム楽しそうでいいな
ここ、前はもっとしょぼかったんですが
リニューアルして豪華になりました
藻岩山より楽しいんで行って正解だと思います
北海道旅行有益情報ブログだ
藻岩山は漫画「波よ聞いてくれ」の舞台でしたね。アニメ版の最終回でそこから見える夜景が効果的に使われてました。
旅行上手!
タクシーの運転手とホテルマンのアドバイスはヘタな地元民より信用出来る
パパぼく。さんが相変わらずでなにより…
パパぼく。回を見ていると段々「うちもこんな親父が欲しかった」「自分もなるならこんな親父になりたい」という気持ちがふつふつと湧いてくる
鳴き声がギィギィなのはともかくとして
一応スキー経験あるはずなのにこのリフトである
高所恐怖症なので金貰っても乗りたくない…
こんなところあるんだ……
今度北海道行ったらゲムぼく。と同じコース巡ってぼくもゲムぼく。になろうかな
これにはくらやんもニッコリ
学生時代、札幌に住んでたのを思い出しました。経度の関係で札幌は冬暗くなるのが早く、授業が遅くなるとナイターで照らし出されたスキー場が見えたけど、結局一度も行かなかったなあw