フィルムコンサートってなんなの！？『アークナイツ』暁光追奏/FILM ON ORCHESTRAレポ！

　ここが……LINE CUBE SHIBUYA！
　約2,000人を収容できるこのホールで、きょう昼・夜の2回にわたって開催されるのが、
　

　『アークナイツ』TVアニメシリーズオーケストラコンサート【暁光追奏/FILM ON ORCHESTRA】だ！
　

出典：https://arknights-anime.jp/

　これは、TVアニメ版『アークナイツ』第1～3期の完結を記念して開催されたコンサート。
　いわゆるオーケストラコンサートだが、厳密には「フィルムコンサート」と言って、スクリーンにTVアニメの映像が流れ、それに合わせて演奏が進んでいくというタイプのもの。
　2025/10/04（土）の1日限りで、場所も日本では東京の渋谷のみ。昼・夜合わせても入れる人数は4,000人くらいのはず。つまり、かなりプレミアムなイベントだ。
　これは行くしかない！ もともとアークナイツのゲームをプレイしているし、ちょうど最近TVアニメ版もぜんぶ視聴したので、いい機会だ！

　……が。
　ぼくは生まれてこのかた「オーケストラコンサート」というものに行ったことがない。そんな文化がカケラもない田舎で育った。オーケストラなんて、夕方になると家を囲む田んぼから360度サラウンドで響いてくるカエルとカラスとスズムシのオーケストラしか聴いたことがない。

　となると……恥ずかしながら、常識がわからない！ 作法やマナーがわからない！
　「恥ずかしながら」と書いたが、そういう人は意外と多いのでは、とも思う。「好きな作品がフィルムコンサートをやるから行ってみたいけど、どういう雰囲気なのかわからなくて怖い……」という人。
　

　そこで今回は、初めてフィルムコンサートに行く人が気にするであろうポイントを整理しながら、アークナイツ FILM ON ORCHESTRAをレポートしていくぞ！
　
　

【1】服装はふつうで、カバンはパンフレットが入るくらいで

　「オーケストラってことは、スーツかなにかで行ったほうがいいのか……？」と心配したのだが、結論としては、普段着でよい。むしろスーツで来ている人なんてひとりもいなかった。
　

　これが実際に着て行った服。めちゃめちゃ普段着。『ゲムぼく。』は服のすべてを無印良品とAmazonで済ませていることで知られる。
　クラシックコンサートならともかく、アニメのフィルムコンサートでフォーマルな服装が要求されることはほぼ100%ない。万が一あるとしたら、公式サイトなどに絶対に「服装は○○でお越しください」と書いてあるはず。なので、「普段着でよい」と覚えておこう。
　ただ、当然ながら、周りの人の迷惑になるような服装はNG。たとえば、派手なコスプレをして目立とうとするとか、大きな帽子を被って後ろの人の視界を邪魔するとか。「服装なんて正直なんでもいいけど、すぐ隣や前後にほかのお客さんがいるから迷惑だけはかけないようにね」ということで言えば、映画館に行くときのイメージが近い。
　

　持ち物としては、カバンは少し大きめがよい。具体的には、A4サイズの冊子が入るくらいがよいだろう。
　なぜなら、セットリストなどが書かれたパンフレットが配られることが多く、それはだいたいA4サイズまたはそれ以下だからである。
　ぼくは「まあほぼ手ぶらでいいだろ」と財布とモバイルバッテリーくらいしか入らない小さいカバンで来てしまったので、パンフレットを家まで手で持って帰ることになってしまった。これがアークナイツでよかった。ラストオリジンフィルムコンサートだったら社会的に終わっていた。
　
　

【2】余裕をもって到着し、トイレなども済ませておこう

　今回のコンサートは、13:00開場、14:00開演だったので、少し余裕をもって13:15ごろに着くように行った。
　時間に間に合うように行くのは当然として、可能なら開演30分前には着くように行ったほうがよい。
　理由はいくつかある。たとえば、「物販を見たりパネル展示を撮影したりするため」「席探しで迷って時間がかかっても大丈夫なようにするため」「開演直前はトイレが混むので早めに行っておくため」、そして「待機中の映像や雰囲気を楽しむため」だ。
　

　フィルムコンサートは、開演待ちの待機時間中も映像が流れていることが多い。今回で言えば、アニメのダイジェストが流れていた。
　また、ステージに置かれた楽器や譜面台を見たり、ステージ裏から聞こえてくる練習の音を聞いたりするのも楽しい。
　早めに席に着いて、気分を盛り上げていくとよい。
　
　

【3】原作は事前に観ておこう

出典：https://arknights-anime.jp/story

　フィルムコンサートは基本的にその作品のファンしか行かないのでほぼ大丈夫とは思うが、原作は事前に観ておいたほうがよい。だいぶ昔に観たという人はなんとなくでも観返しておくとよい。
　もちろん、プロの技術が詰まったコンサートなので予備知識なしでも大迫力だが、フィルムコンサートは基本的に「ファンに最高の体験を」ということを第一に考えて作られているので、ファンであればあるほど体験価値は高まる。
　実際、ぼくはTVアニメシリーズを観ておいたおかげで、感動が軽く10倍にはふくれ上がったと思っている。セットリスト（曲順）や演奏とともに流れる映像に込められた意図がわかるのはもちろんのこと、ライティング（光）のタイミングや色や模様、曲と曲の間隔の長さなど、すべてが計算し尽くされていることが感じられ、一見なにもない沈黙の時間ですら感動がある。「そうだよな、この曲の後は数秒の暗闇と静寂が必要だよな」と。
　
　

【4】すべてを見逃さず、聴き逃さず

　コンサートが始まったら、あとは映像と演奏に身も心も預け、この特別な世界に浸るだけだ！
　時間としてはだいたい1.5～2時間くらいだが、あっという間。原作を観ていれば、腕時計を見なくても「ああ、もう3期の曲まで来てしまった。もうすぐ終わってしまうのか……」みたいなことがわかる。
　

　途中で休憩があるが、トイレなどはさすがに混むので、行くなら早めに行くようにしよう。

　ぼくはこの世界から離れたくなくて、別の空気を肌に触れさせたくなくて、休憩も含めて席を立たなかった。それだけの力があるコンサートだった。
　個人的には、アークナイツTVアニメは、1期がミーシャの物語、2期がフロストノヴァの物語、3期がタルラの物語であり、全体を通すとアーミヤとチェンの物語になると思っている。今回のコンサートで映像と音楽を改めて順番に味わい、やはりそうだよな、と再確認した。休憩の間はずっと目を閉じ、いままで観てきたものに想いを馳せていた。

　ものによっては、こうしたフィルムコンサートをライブ配信などで中継してくれることもあると思うが、可能ならばぜひ現地で鑑賞することをおすすめしたい。
　当然ながら、生の音楽はぜんぜん違う。単純な音質というだけの話ではなくて、空気の揺れが違う。重低音がもたらす席の微振動、静寂がもたらす緊張感。隣の人と同時に息を呑む瞬間や、ホール中が割れんばかりの拍手に包まれて地震のごとく揺れる瞬間。
　そのすべてが、その日、その時、その場所にしかない。
　

　本当にすばらしい体験だった。
　2025感動ランキングを作るとしたら大阪万博のガンダムパビリオンがぶっちぎり1位だと思っていたのだが、ここに来て同率1位ができてしまった。

　ホールから渋谷駅までは、約15分歩く。
　いつもだったらすぐにイヤホンをして歩くのだが、この日ばかりはそうしなかった。しばらく、生演奏の余韻だけを脳内に響かせておきたかったから。
　

　最高の時間をありがとう、アークナイツ 暁光追奏/FILM ON ORCHESTRA。
　家に帰ったら、コンサートの公式サイトで出演者コメントを読んで、TVアニメも観返そう。あの世界に生きるすべての人たちの懸命に生きる姿に、そして、ロドス・アイランド製薬の面々の運命に抗う姿に、勇気をもらおう。
　そうして帰宅後、PCの電源をつけると、
　

出典：https://www.round1.co.jp/collaboration/arknights/index.html

　ロドス・アイランド製薬の面々がボウリングを楽しむ姿の情報が流れてきた。
　いや、余韻！ いいけど！ ラウンドワンコラボ自体は気になるけど！ 余韻！！
　

アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】

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