サガフロじじいゲムぼく。

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 昔のう、『サガフロンティア』いうゲームがあったんじゃ。あれはとんでもない意欲作であり実験作であり、粗削りながらも間違いない名作じゃった。
 いつごろじゃったかのう。1997年の夏かのう。1997年のスクウェアはすごかったんじゃ。年明けに『ファイナルファンタジーVII』が出て、6月には『ファイナルファンタジータクティクス』が出て、その1ヶ月後にサガフロンティアじゃ。もっと言うとその2ヶ月後には『フロントミッションセカンド』で、年末には『チョコボの不思議なダンジョン』じゃ。
 ひとつのメーカーから大作RPGが1年に5本も6本も出るなんていまでは想像もつかんことじゃが、昔のスクウェアはそれくらい勢いがあったんじゃ。おお、いけん。いまでは合併してスクウェア・エニックスになったんじゃったかのう。

 合併! おまえ、いま、合併言うたか!
 あれはすごかったのう。「あのスクウェアとあのエニックスが!?」「クロノ・トリガーのドリームプロジェクトの再来か!?」いうてのう、大騒ぎじゃったんじゃ。いまで言うたら三菱UFJとか三井住友とか、それくらいの衝撃度じゃ。おお? 三菱UFJも三井住友ももう大昔なんか? まあええわ、最近じゃ最近。戦後はぜんぶ最近じゃ。
 いろんなウワサも出てのう。ファイナルファンタジーとドラゴンクエストの発売時期が被ると客の取り合いになるけえ協力したかったんじゃないかとか、エニックスはドラゴンクエスト頼みの経営に不安があったんじゃないかとか、スクウェアは映画事業の不安やデジキューブの倒産が影響したんじゃないかとかのう。みんな根拠なく好き勝手に言うとったもんじゃ。勝手な時代じゃのう。

 デジキューブ! おまえ、いま、デジキューブ言うたか!
 デジキューブはのう、あれはええもんじゃった。都会のモンは鼻で笑っとったが、わしらみたいな田舎者にはデジキューブは救世主だったんじゃ。
 デジキューブいうんはのう、コンビニでゲームソフトが買えるしくみじゃ。いまじゃ当たり前にコンビニにゲームのダウンロードカードが売っとるが、あれの先駆けみたいなもんじゃのう。最終的には終わってしもうたが、デジキューブは間違いなく流通革命だったんじゃ。なんせ、定価とはいえ、家の近くにあるコンビニで最新ゲームが買えるようになったんじゃけえのう。
 もともと、わしらみたいなとこの村にはゲーム屋さん、おもちゃ屋さんなんかなくて、ゲーム言うたら車で2時間走って市内まで行かんと買えんかったんじゃ。年に2回、誕生日とクリスマス、親に頼み込んで、2時間走ってもろうて、ゲーム買うてもろうてのう。また2時間走ってもろうて帰るんじゃ。2時間ずっと説明書を穴が開くくらい読んで、親に「こら、暗いとこで小さい文字読まんのよ! 目ぇ悪ぅなるよ! それに下ばっか見とったら酔うよ!」いうて怒られたもんじゃ。
 ほんでしょうがないけえ、目を閉じて、今度は説明書の情報をもとに頭の中で想像でプレイし始めるんじゃ。サガフロンティアいうゲームは主人公が7人もおるんじゃのう、どの主人公から始めようかのう、じゃあレッドを選んでみたとして、オープニングはきっとこんな感じかのう……いうてのう。
 

 主人公! おまえ、いま、サガフロの主人公言うたか!
 サガフロは本当にすごいゲームじゃった。主人公が7人おって、7つの物語があるんじゃ。そのうえで、「フリーシナリオ」いうサガシリーズならではの自由度の高さもあって、誰を仲間にするか、どのリージョンから行くか、相反する術のどっちを習得するか、どの種族を育てるか……とにかく道中が人によってバラバラなんじゃ。主人公によってはエンディング分岐もあったのう。
 じゃけえ、おもしろいんは、人と話が合わんのじゃ。「誰から始めた?」「俺はT260G」「俺はエミリア」みたいな感じでのう、もうその時点でバラバラなうえに、「バカラってなんもないよな」「えっ、バカラはジョーカー追跡で超重要でしょ!?」みたいに、主人公や進め方によってリージョンの意味づけや起きるイベントもまったく違うけぇ、本当に同じゲームをやっとるんかわからんような食い違いが起きるんじゃ。
 でもいっぽうで、「逆風の太刀覚えたゲンさん頼もしすぎ」「自由行動可能になったら真っ先にシュライクに鎮魂の勾玉取りに行くよな」「T260G編で『T260G』って名前つけたら『T260GG』になっちゃった」「困ったら多段多段多段斬りと跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾だよな」みたいな、みんな「うんうん」いうて同意するような話題もあってのう。それがまたおもしろかったんじゃ。
 わしは確か、初めて遊んだんはレッド編じゃったかのう。熱い物語じゃった。T260G編も好きじゃのう。主人公以外ならゲンさんとか特殊工作車とかヒューズとか好きじゃったのう。

 ヒューズ! おまえ、いま、ヒューズ言うたか!
 IRPO隊員ヒューズはのう、もともと主人公の1人として構想されとったらしいんじゃ。8人目の主人公じゃな。
 でも、いろいろあったらしくて、ヒューズ編は収録が見送られてしもうたんじゃ。詳細は内部の人間にしかわからんことじゃが、おそらく開発期間の問題とか、容量の問題とか、いろいろあったんじゃろうのう。それで、ヒューズは仲間として登場するにとどまって、IRPOいうリージョンもそんなにイベントが多くないリージョンになってしもうたんじゃ。
 幻のヒューズ編は、当時『サガフロンティア裏解体新書』いう攻略本のような設定資料集のようなぶ厚い本があってのう、そこでかなりのページを割いて、小説としてストーリーが公開されたんじゃ。それはそれはおもしろかった。IRPO隊員という職業と持ち前のコミュニケーション能力を活かし、すべての主人公と協力関係を築ける唯一の主人公、それがヒューズだったんじゃ。
 この小説もまた、わしらは穴が開くほど読んだもんじゃ。いったいゲーム内で実装されとったらどうなっとったなんか、夢物語とは知りながら想像をふくらませてのう。
 

 夢物語! おまえ、いま、夢物語言うたか!
 ときは2021年、『サガフロンティア リマスター』が発売されたんじゃ。原典であるプレイステーション版のシステムや雰囲気はそのままに、グラフィックを美しくし、各種の高速化機能や便利機能を搭載し、さらに幻のヒューズ編まで追加という、リマスターかくあるべしという理想形じゃ。
 特に、サガフロはちゃんと楽しもう思うたら各主人公を順番にやることになるけえ、周回プレイありきなんじゃが、そのための倍速機能や引継ぎ機能が充実しとるんがすばらしいんじゃ。たとえば、プレイステーション版じゃとブルー編をまっとうにクリアしようと思うと10~15時間くらいかかるもんじゃが、リマスター版なら2~3時間でいけるんじゃ。でもラスボスは本当に強くてのう。ちゃんと対策せんと七支刀が耐えられんのじゃ。快適さと難しさの両立が見事と言うほかないのう。
 プレイステーション版とは違って、セーブデータも数を気にせずにいくらでも作れるけえ、いつでもラスボス戦を見返したり、分岐のところからやり直したりもやりやすいんじゃ。

 セーブデータ! おまえ、いま、セーブデータ言うたか!
 サガフロはのう、ちゃんと遊ぶとサガフロだけでメモリーカードをちょうど1枚使い切るゲームだったんじゃ。
 メモリーカードは知っとるか? 当時はメモリーカードいうんがあってのう、15ブロックの記憶容量の中に、いろんなゲームのデータを保存しとったんじゃ。いまで言うと、容量がものすごい小さいSDカードみたいなイメージかのう。
 1つのセーブデータで3ブロックとか5ブロックとか使うゲームもあるけえ、15ブロックなんてすぐ埋まるんじゃ。でもメモリーカードもそんなしょっちゅう買ってもらえるもんじゃないけえ、ときには新作ゲームのセーブデータを入れるために、そこそこやりこんだ旧作ゲームのデータを泣く泣く消すこともあったんじゃ。
 サガフロは、システムデータで1ブロック、シナリオのセーブデータで2ブロックを使うしくみじゃった。最低3ブロックあれば大丈夫じゃ。でものう、さっきも言うたが、主人公が7人おるんじゃ。せっかく進めたなら、各主人公のクリアデータも残しときたいのが人情でな、そうしたら2ブロック×7人で14ブロック使うんじゃ。システムデータと合わせて15ブロック。ちょうど埋まってしまうんじゃ。みんな「これはサガフロ専用メモリーカード!」いうて、メモリーカードのシール貼るところに「サガフロンティア」って書いたり、ロゴのシールを貼ったりしとったもんじゃ。当時はゲーム雑誌にメモリーカード用のシールがおまけでついてくることもあったのう。
 いちおう、30ブロックとか45ブロックとかある純正じゃないメモリーカードを買う手段もあったが、純正じゃないのはどうしても正常に動作せんことがあってのう。便利ではあったが、あんまりよくはなかったんじゃ。そういうのを買うお金があったらポケットステーションのほうがほしかったしのう。
 


出典:PocketStation – Wikipedia

 ポケットステーション! おまえ、いま、ポケットステーション言うたか!
 昔はのう、ポケットステーションいうて、ゲームができるメモリーカードがあったんじゃ。メモリーカードに、白黒のドット画面と、操作用のボタンがついとってのう。ドリームキャストのビジュアルメモリも似たようなもんじゃのう。ただ、ビジュアルメモリは電池が切れたときにコントローラーに挿したまま本体を起動すると「ピーーーーー!」いう音がうるさいんじゃ。
 ポケステはのう、『どこでもいっしょ』のヒットもあって大人気でなかなか入手できん時期もあったし、タイトルによってはポケステ専用ミニゲームでレアアイテムが取得できることもあって、みんなの憧れだったんじゃ。基本カラーが白とクリスタルの2色あって、どっちがかっこええかみたいな議論もあったもんじゃ。
 ポケステはたしか、サガフロンティアよりは発売が後だったはずじゃ。サガフロンティア2はポケステに対応しとったのう。『GO! GO! ディガー』いうミニゲームができてのう。
 サガフロンティア2も名作じゃった。たしか、『チョコボの不思議なダンジョン2』に体験版ディスクがついてきとってのう。

 体験版ディスク! おまえ、いま、体験版ディスク言うたか!
 プレイステーション時代のスクウェアはのう、ゲームのおまけに、次の新作の体験版ディスクをつけるいうことをよくやっとったんじゃ。ほかにも『チョコボの不思議なデータディスク』いうて、いろんなタイトルの特別なセーブデータが入ったディスクをつけるのもあったのう。
 あれはいまにして思えば、当時だからこそのしくみじゃのう。当時のスクウェアは新作をとんでもないペースで出しとったけえユーザーにどんどん知ってもらう必要があり、でもインターネットなんかないけえ物理で配るしかなく、安定して売上の見込める強いタイトルがあり、CD-ROMは製造費がそんなに高くないけぇ量産しやすく……うまく噛み合う条件がそろっとった。ええしくみじゃった。
 「実験作に注目の大作の体験版をつけて売り上げを伸ばす」みたいなこともあったのう。『トバルNo.1』にファイナルファンタジーVIIの体験版がついとったんがいちばん有名じゃな。もしかしたらアコギな商売じゃいう声もあったかもしれんが、フタを開けてみればトバルNo.1がけっこうおもしろうてのう。みんな「FFの体験版めあてで買ったけど、なんだかんだトバルにハマった」となっとったもんじゃ。サガフロンティアは、たしか、ファイナルファンタジータクティクスに体験版がついとったのう。T260G編とクーン編がちょっと遊べたんじゃ。
 当時は体験版ディスクはよくあったけえ、人によっては、製品版より体験版ディスクのほうが多く持っとるみたいなこともあったかもしれんのう。当時はプレイステーションだけじゃのうて、パソコン雑誌とかでも体験版ディスクはよくあったんじゃ。テックジャイアンとか、Windows100%とか、コンプティークとか、パソコンパラダイスとか……

 パソコンパラダイス! おまえ、いま、パソコンパラダイス言うたか!
 パソコンパラダイスはのう、エッチなイラストの局部を金塊で……

 ……

 …………
 

「これが、きょうご入居された『ゲムぼく。』さんのカウンセリング記録ですが、どうしますか?」
「話が長すぎるわ。スクウェア棟に入れましょう。一択よ、こんなの」
「わかりました。橋本さんと同室でいいですか? 橋本さんも、サガフロ? でしたっけ、お好きでしたよね」
「待って。橋本さんはロマサガ至上主義者でサガフロには好意的ではなかったはずだから、危険よ。サガ好きは一枚岩ではないの」
「はぁ。そうなんですか」
「デュープリズム好きの山田さんとブレイブフェンサー武蔵伝好きの小森さんがいる部屋が1床空いてたでしょ。あそこにしましょう。実験作好き同士で話が合うと思うわ」
「はぁ〜、すごいですね、先輩。なに言ってるかぜんぜんわかりませんよ。ネット上の情報が少ない時代の話だから、AIに聞いてもあんまり出てこないし。この世代の高齢者施設職員って難度高すぎません?」
「文句ばかり言ってないの。ほら、もうセガ棟のレクリエーションの時間だから行くわよ。きょうの歌はバーニングレンジャーだから、激しめに演奏お願いね」
「はーい。あ〜したの青空に〜♪」

(2026/09/06(日)21:00~ やろうぜ!サガフロンティア!クーン編)

コメント

  1. 名無しのゲーマー より:

    アセルス妖魔エンド派と半妖エンド派と人間エンド派で施設内で争いが起きそう

  2. 名無しのゲーマー より:

    ネタが濃密すぎる

  3. 名無しのゲーマー より:

    怪文書…!

  4. 名無しのゲーマー より:

    入居希望者殺到待った無し!

  5. 名無しのゲーマー より:

    セガ棟、ひねくれ者が多そうすぎる

  6. 名無しのゲーマー より:

    こういう訳の分からん記事を読むために個人ブログがある

  7. 名無しのゲーマー より:

    聖剣シリーズも聖剣ナンバリングの者とLOMの者で一枚岩ではなくてのう

  8. 名無しのゲーマー より:

    やだこの記事平成の匂いがする

  9. 名無しのゲーマー より:

    もしスクウェア棟にぶち込んだら
    こんどはワンダースワンのFF3が出なかったコトを毎日愚痴ってそうですね

  10. 名無しのゲーマー より:

    お祖父ちゃん、メイレンさんについて語る時は目を見開いて罵詈雑言が飛び出すのよ。
    ブルー編のラストについては口ごもるのよ。

  11. 名無しのゲーマー より:

    ゲムぼくさんのブログを見ていたつもりがカウンセリング記録だったとは…

  12. 名無しのゲーマー より:

    俺絶対これ年末の記事大賞に投票する

  13. 名無しのゲーマー より:

    デュープリズム好きの山田さんと同室にしてください

  14. 名無しのゲーマー より:

    俺たちの老後

  15. 名無しのゲーマー より:

    担当者さんへ
    デュープリ好きと武蔵伝好きからはサガフロなんかメジャーじゃねえかということで追い出されると思います
    双界儀好きを入れてあげてください

  16. 名無しのゲーマー より:

    ここがインターネッツ老人会ですか

  17. 名無しのゲーマー より:

    もう!おじいちゃんまた塔十字塔十字塔の話ばっかりして!

  18. 名無しのゲーマー より:

    魔法陣グルグルの話がしたいからエニックス棟に入れてください

  19. 名無しのゲーマー より:

    今まで読んだゲムぼく記事で一番好き
    (記事かこれ?)

  20. 名無しのゲーマー より:

    セガ棟はもう隔離棟だろ・・・
    重症だよ重症

  21. 名無しのゲーマー より:

    意外とゲーム史的な価値がある記事かもしれない

  22. 名無しのゲーマー より:

    アインハンダーの田中さんとレーシングラグーンの元長さんの病室も空いてるわ!

  23. 名無しのゲーマー より:

    この記事自体が実験作でしょ

  24. 名無しのゲーマー より:

    つい先日フルボイスで聞いたような

  25. 名無しのゲーマー より:

    ふと気になったけど、KHやすばせかとかのスクエニ合併後のシリーズを語る入居者はどこの棟になるんですかね…

  26. 名無しのゲーマー より:

    ジャンル・派閥別厄介老人対応の老人ホームあと◯十年のうちに用意しておいてほしすぎる
    ただどの棟も治安はクソ悪そう

  27. 名無しのゲーマー より:

    1997年頃のパソパラからいったい何を語る気だったのか MOONか?

  28. 名無しのゲーマー より:

    セガ棟に入居できますかのぅ?当方、青春の全てを使ってサクラ大戦は全EDをみておるものです。

  29. 名無しのゲーマー より:

    >もともと、わしらみたいなとこの村にはゲーム屋さん、おもちゃ屋さんなんかなくて、ゲーム言うたら車で2時間走って市内まで行かんと買えんかったんじゃ。

    「市内」という言葉選びが本物の田舎出身だ
    (都会の人は市内とか言わないらしいです)

  30. 名無しのゲーマー より:

    セガ棟のおじいさんはyyyyyyyyy

  31. 名無しのゲーマー より:

    メモリーカード!
    プレステのメモリーカード管理画面にはゲームごとに違う、独自のアイコンがあって遊び心がかんじられて良かったよねアレ

  32. 名無しのゲーマー より:

    おじいちゃんパソコンパラダイスの話もして

  33. 名無しのゲーマー より:

    過去一ターゲットが狭い記事来たな

  34. 名無しのゲーマー より:

    おじいちゃん、「戦え!アルカイザー」にオリジナルの歌詞を付けて歌うのはやめてって何回も言ってるでしょ!

  35. 名無しのゲーマー より:

    最終的にサガフロじじいじゃなくてパソパラじじいになってる

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