
180を超えるパビリオンがある、2025『大阪・関西万博』。
世界中の国々が出展しているイメージが強いが、じつはNTT、パナソニック、三菱など、日本の民間企業のパビリオンも10以上ある。いずれも大人気で、事前の抽選に当たらないとほぼ入れないほど。
そのなかで「これは絶対に行きたい!」と思って抽選に応募し、運よく当たったのが……

株式会社バンダイナムコホールディングスの『GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION』だ!

ぼく「ガンダム、わかる?」
娘「ぜんぜん知らない」
息子「なんか昔プラモデル作らなかったっけ?」
ぼく「えっ、すごい! 何年も前なのに! ストライクガンダムとか一緒に作ったね」

今回当たったのは、「11:48-12:00」の回。
よくわからないが、こんなに小刻みなんだな。12分間の映像を観るのだろうか。たぶん、ガンダムに出てくる科学技術のうち将来的に実現できそうなものを映像で紹介する、みたいな感じか?
……と思いきや! ぜんぜん違った!
ガンダムパビリオンは、約30分にわたる体感型の超エンタメ完全新作ガンダムだった!

予約時間になってパビリオン内に入ると、そこには宇宙船ドックのような空間が。
「GOIC」というロゴが見える。「GUNDAM OPEN INNOVATION CONSORTIUM」という、戦争が終わり兵器としての役目を終えたモビルスーツの平和利用を目的に設立された機関だ。
そう、ここはすでに「ガンダム」の世界! いわゆる正史ではないが、「平和になった宇宙世紀」の世界の中! 我々は、GOICが主催する宇宙ツアーの参加者なのだ!

映像で、GOICのモビルスーツ平和利用の取り組みが紹介される。
すごい! ジムが荷物を運搬している!

ぼく「ボールがビームサーベルで農業やってる! なにこれ! おもしろい!」
娘「すごいの? ちょっと説明して」
ぼく「型式番号RB-79、宇宙用モビルスーツ、ボール。モビルポッドとも呼ばれることがある。地球連邦軍の主力量産機であるジムに比べて性能は劣るものの4分の1程度のコストで製造でき」
娘「こわ」

続いて、ツアーのガイド役となるハロとピンクハロが登場。色と知名度から考えて、それぞれ『機動戦士ガンダム』『機動戦士ガンダムSEED』を意識したものだろう。
ハロは「イークス」、ピンクハロは「ポー」という名前らしい。くっつけると「イークスポー」、つまり「EXPO(万博)」。ボディに「25」「70」という数字があるが、これはおそらく過去2回の大阪万博の年(2025と1970)にちなんだものだろう。
いまから、軌道エレベーターを用いて、宇宙の開発拠点「スタージャブロー」へのツアーが始まるらしい!
で、この部屋で映像を観続けて終わりかと思いきや……

扉が開いて、軌道エレベーターの搭乗ロビーへ移動!
えっ、そういう感じなの!? 気合い入りすぎでは!? テーマパークのアトラクションじゃん!

ハロたちから、移動ルートの紹介や注意事項の説明を聞き……

軌道エレベーターに実際に搭乗!

ウオオオオオ! 宇宙に向かって上り始めた!
もちろん本当に動いているわけではなくて、映像・音・振動によって疑似的に動きを感じさせているだけなのだが、かなり迫力がある。

天窓を見れば、軌道エレベーターに沿ってどんどん上昇していくさまが見えるし……

横を見れば、一緒に軌道エレベーターに乗っているハロやザクの姿が見える!
ちなみにこのザクは『WA-97F06』という型式番号で、ザクIIF型がベース。

ぼく「おっ、あれサラミスじゃない!? サラミスが輸送艦みたいな感じで使われてるのかな!? すごい!」
娘「サラミスってなに?」
ぼく「サラミスは地球連邦軍の宇宙巡洋艦。マゼランと並ぶ主力艦でメガ粒子砲や連装型の機銃、ミサイルランチャーなどをひと通り備えているもののおそらく戦争が終わったいまでは武装は取り外されて」
娘「こわ」
軌道エレベーターは上昇を続け、やがてツアーの目的地であるスタージャブローに到着。
ここでは軌道エレベーターを降りて、スタージャブロー内に実際に入れる! このパビリオン、どこまであるんだ!?

広い!
スタージャブロー内に設けられた、観光客用の見学スペースみたいな感じだろうか。
モビルスーツが開発作業をしているさまを窓越しに見ることができる。

うわっ、ホワイトベースがいる! 健在なんだ!
ガンダム本編ではつねに戦禍の中心にいたホワイトベースだが、ここでは「ペガサス級」の名の通り、天馬のごとく優雅に宇宙を羽ばたいている!

あれっ!? ジェガン!? ジェガンもいるの!?
よく見ると、ほかにもギラ・ドーガやオッゴもいた。いわゆるファーストガンダムに限らず、宇宙世紀のいろんな作品のモビルスーツがいて、そのすべてが平和利用されている。
物資を運んだり、修繕作業をしたり、スペースデブリ(宇宙ゴミ)を取り除いたり。同時に、ハロたちが宇宙開発の難しさやスペースデブリの危険性などについて解説もしてくれる。
まさに「ガンダム×万博」だ。いつか本当に、モビルスーツ技術が確立して、こういうふうに使われる日が……

“ドォォォォーーーン!”
えっ!?
突如、巨大なスペースデブリが現れ、閃光とともに爆発! スタージャブロー内に警報が鳴り響く!
爆発の中から現れたのは……

ジオング!
MSN-X17 ジオング タイプMA。戦争末期に開発された自律制御型の無人機で、スペースデブリに自らを偽装し、船舶やMSに近づいて奇襲するよう設計されているらしい。
極めて長期間の単独行動が可能なこともあり、戦争終了から長く経ったいまでも人知れず宇宙に残ってしまっていたようだ。

“緊急事態です! 乗客のみなさまは待避ポッドに避難してください!”
スタージャブローから避難通路を通って、待避ポッドに移動する。
もちろんプログラムの一環なのだが、映像・音・振動、そしてこの設備の臨場感があいまって、かなりの緊張感がある。みんな早足で歩いていた。

待避ポッドに避難するが、目の前ではジオングによる襲撃が続いている。
スタージャブローのモビルスーツたちが迎撃に当たっているが、平和利用のために武装を最小限に抑えられていることもあり、歯が立たない。次々に撃破されていく。
このままでは、スタージャブローはほぼ壊滅し、この待避ポッドもジオングに破壊されてしまうことはほぼ必然。もう、どうしようも……

そのとき!
すさまじい速度でジオングに接近して一撃を加え、交戦し始める白いモビルスーツが現れた。
ぼくを含め、待避ポッドにいた多くの人が、示し合わせたかのように驚きの声を上げた。あれは……

「ガンダム!!」

RX-78F00/E ガンダム。
高効率の太陽エネルギー変換システム『グラスフェザー』を背部に装備した、再生可能エネルギー運用実証試験機。
平和の象徴となったガンダムと、前大戦の遺物であるジオング。因縁の、そして最後の決戦が始まる!
……
…………

“当機は無事、大阪夢洲ターミナルに着陸いたしました”
激闘の末、ガンダムとスタージャブローのモビルスーツたちのおかげで、待避ポッドは無事に地球に帰ってくることができた。
どのような大迫力の戦いがあったかは、ぜひ実際に万博のガンダムパビリオンに行って確かめてほしい。

息子「すごかった……」
ぼく「ずごがっだ……ガンダム……がっごよがっだ……ありがどうガンダム……」
娘「めちゃめちゃ泣いてんじゃん」

パビリオンを出てすぐのところで設定資料集が売っていたので即買った。3,850円。
本当によかった。今回の大阪万博旅行は、新幹線やらホテルやら万博チケットやらだけで軽く15万円以上かかっているわけだが、このガンダムパビリオンでの体験だけで元が取れたと思っている。

ぼく「いや~、楽しかったですね! 大阪万博!」
息子「まだ12時すぎだよ」
ぼく「もうやばいくらい満足しちゃった。一生の思い出だよこれ。あとはもう好きなところ行こう! なんでも好きなもん食べていいし好きなもんガンガン買いな!」
息子「やった!」
娘「ありがとうガンダム!」
ありがとう、ガンダム!




コメント
息子さん・お父さん、娘さんの温度差よ
うお〜!楽しそ〜!
ビームサーベル農業、ちょっとターンエーっぽさあっていいな
娘ちゃんの(説明がほしいのはそこじゃないんだよなぁ)を凝縮した「こわ」の二文字に感服
ガンダム一度入ったことあるけど設定資料集なんてあるの知らなかった。
めっちゃ早くタイピングしてそうな記事
ハイマットフルバーストか?
幼くして「ガンダムオタクに『説明して』と言ってはいけない」ということを覚えた娘さん
いやぁね…ジオングの暴れっぷりがまた素晴らしいんですよ
万博、楽しいですよね……
まあゲムぼく。さんはこの後のふとももEXPOに全部持っていかれてそうですけど……
ガンダムはマジで予約取れないから事前で取れたのうらやまですわ~
ラスオリの時ぐらい早口になるじゃん
メッッチャクチャ羨ましい…!
モビルスーツが人型であるのは戦後にこそ意義があるんだろうな、とこの記事を拝見しながらふと思いました
ガンダムパビリオンに行くためだけにバウチャー予約していって、アムロの声が聞こえて泣いちゃいましたわ…
立ち見のアトラクションだったから漢泣きでしたわ…
男子(大きいの含む)と女子の温度差を感じられる記事でした
大迫力の映像でガンダムの活躍をひとしきり見ると、外にあるガンダム像で感涙するんだよなぁ……
このガンダムのパビリオン、テレビの特集で見てめっちゃ気になってたんだよねーとっても楽しそう
お疲れ様です。
現存するあらゆるMSがもはや戦いとは無縁の平和利用を行われる世界。
もはや“宇宙移民の自由の未来を目指し希望を信じたジオン建国の国父ジオン・ズム・ダイクンの理念を歪め、恐怖政治による独裁を敷いたザビ家の者達への報復を成すダイクンの遺児最後の鎧”ですらない、正真正銘理由すらなくただ宇宙世紀の人々に害を振り撒くだけの空虚な悪霊“ジオン公国の亡霊”と成り果ててしまったジオング。
環境問題からの棄民じみた数多の人々の宇宙移住の強行から始まらざるを得なかった宇宙世紀。
宇宙世紀の世界を作らざるを得なくさせた旧時代の人々の負の遺産の解決策を探すための環境問題を生まないクリーンエネルギー実用化試験機。
“旧い時代の過ちを濯ぎ、新しい時代を創るもの。ダイクンが信じた未来への希望『ニュータイプ』を体現するマシン”として在るガンダム。
万博の
「ヒトの未来の象徴たる最先端技術」
宇宙世紀ガンダムの
「繰り返されるヒトのエゴに基づく過ちに、それでもなお立ち向かうガンダムの担い手達」
のテーマをうまく重ね合わせ
万博の「希望の未来への祈り」
宇宙世紀ガンダムの「ジオン本来の理念を忘れただ人々に災いを振り撒く空っぽなジオンの亡霊に対する、地球連邦の英雄の象徴『ガンダム』と名も知れぬガンダムのパイロットが体現したダイクンが宇宙世紀の未来に信じた希望『ニュータイプ』が重なった瞬間」
のどちらで読んでもうまく通る物語の構成。
おお……ブラボー……!!
ガンダム全然知らなくて抽選当たったから行ったけど本当に凄かった
設定資料集買っちゃったもん
万博ガンダムにあまり期待してなかったが、ちょっと興味でてきた
実際に避難行動する体験はレアなんじゃないかな
富野監督のメッセージ通り、ガンダムで次の世代に何かを伝えることが出来たパパぼく。を尊敬する
娘さんは買い物っぽいけど…
ガンダムパビリオン、体感型アトラクションてして最高の出来ですよね。
世界観の作り込みや館内を移動する理由の付け方がうまくて、この手のアトラクションにありがちな「やらされてる感」がなかったのはすごいと思いました(ガノタの贔屓目かもしれませんが)
個人的に一番おもしろかったのは「夢洲に軌道エレベーターがあるんです(圧)」「アッハイ」の流れ。
>> ガンダム一度入ったことあるけど設定資料集なんてあるの知らなかった。
設定資料だけを売ってる小さなテントが実物大ガンダムの陰にポツンとあるだけなので、気付かない人が多そうだなーとは思ってた
実は大型家電量販店のガンプラ売り場やガンダムベース等でも買えるんですよ
万博行ったけどガンダムの抽選外れちゃったからありがてえ
すげー行きたくなった!!
昔の悪役ロボみたいなトゲトゲしたデザインのジオングMAに、宇宙世紀だけかと思いきやトールギスとかオルタナティブMSまで出てくるお祭り映像アトラクションなのでガノタみんな楽しそうだった
娘ちゃんがパパを怖がり始めてるの本当に面白いのでその感性のまますくすく育ってほしい
昔富士急で行ったガンダムザライドを思い出す
違いはこちらは平和な時代ということか
私も事前抽選でガンダムを応募してたのですが、結果は見事にはずれ。が、運良く当日枠(今もあるのかな?私のときは12時の午後の枠が開放される形でした。)を確保出来て見ることが出来ました!このためだけに朝早くから万博に行っただけの価値はありましたね。ガンダム好きならなおさら。
感動して外に出て、設定資料集を買ってしまう気持ちもよくわかります(笑)
ガンダム全く知らなくても楽しめるエンタメパビリオンだから誰にでもお勧めできるいいパビリオン
ただ予約限定だから当日予約の12時15時17時19時の早押しバトル頑張ろう
求められてる以上の情報を熱く吐き出し続けてお嬢さんを怖がらせましょう!
近年の富野監督が語ったりGレコで描いている宇宙に出て生活するなんてとんでもなく大変なことなんだ!
戦争なんかより他にやることがあるでしょうが!という考えを万博という舞台で最大限表現したパビリオンだなぁ
ええい、兵器の本質とは戦いにこそあるとなぜ分からんのだ!
めちゃくちゃ行きたくなる記事ありがとう!
ガンダムパビリオン、抽選がなかなか当たらないのが唯一最大のネック