「ゲムぼく。っぽい」とSNS上で評されていた某メディアの記事があって、どれどれ、と開いてみた。
書き出しは、本を買いに行った日常エピソードかなにからしく、こう始まっていた。
今日本を買うために、(以下略)
ウガアアア!
するわけないだろうが! こんな書き方を!
これが「っぽい」って言われるのか!? これと同レベルだと思われてるのか!?
冒頭10文字だけで、ショックのあまりページを閉じた。
おそらく、SNS上の人々が「っぽい」と言及した部分よりも、ずっと手前だろう。
怒りよりは、悲しみ、そして反省。
たとえ一瞬でも、たった数人でも、こんなのを含んでいる文章を「っぽい」と思う人がいるほど自分の文章が低く見られている現実を突きつけられ、落ち込んだ。その日は9時間しか眠れなかった。健康じゃん。
いまあなたは「お前はなにをそこまで言ってるんだ」と首をかしげているはずなので、説明しよう。
「今日本を」
これは、ぼくは絶対に書かない。脅迫されたら書くが。
なぜなら、一瞬、読めないからである。「きょう ほんを」なのか、「いま にほんを」なのか、わからないからである。
あなたは、このコラム冒頭では「きょう ほんを」とすんなり読めたはずだ。
それは、ぼくが直前に「書き出しは、本を買いに行った日常エピソードかなにからしく」と予備知識を与えたからである。
それがなかったら、0.1秒か0.2秒、必ず目が止まり、脳が迷っていた。「きょう ほんを」か、「いま にほんを」か。
だから、ありえない。こんな表現、やっていいわけがない。「きょう本を」か「今日、本を」か「きょう、本を」でないとおかしい。
誤読を狙った叙述トリックみたいな話ならともかく、理由なく「今日本を」は正気を疑う。思いやりがなさすぎる。読み手に失礼だ。
……いや、もしかして、叙述トリックだったのか?
そう思って、閉じたページを開き直して読み進めたが、ぜんぜん叙述トリックではなかった。ウガアアア!
でも、これと一緒にされたってことは、一部の人から見ればぼくもこのレベルってことで……ウガアアア!
……と、しばらくのたうち回っていた。ウガアアア!
まあ、実態としては、読点の入れ忘れか変換ミスが校正で見落とされ、そのまま載ったのだろう。プロが素で「今日本を」は絶対ない。
そして、絶対ないものを「っぽい」と思われたことは要反省。もっと文章力を磨こう。
そのために、今日本を買いに行くぞ! 今日本を! どっちだよ!
「週末の1000字。」は、週末をより楽しくするためにお届けする、1,000字ぴったりのコラムです。












コメント
9時間はむしろ普段よりスヤスヤ寝てませんか?
楽しそうで何より
日本を買うには何兆円あれば足りるかな…
イラストもそうだけどプロの技術は素人には理解できない物なのだ…
面白い観点で勉強になる
正直自分はそこまで考えた事無かったな…
>それは、ぼくが事前に「書き出しは、本を買いに行った日常エピソードかなにからしく」と予備知識を与えたからである。
ここでハッとなった
視線誘導?心理誘導?が上手い
ゲムぼく。文章論かなり勉強になりそうだなと思ってしまった
本出して欲しい
日本を買う…映画鷹の爪2かな?
京本(きょうもと)さんの誤変換だった可能性も
実際どうなんだろう?
自分も絶対「今日本を」なんて書きたくないけど、
一般の人は普通に書きそうな気もします
昭和頃の小説って「こんにちは」を「今日は」って書いてて
「きょうは」との区別がつかない事あるんだよな
ゲムぼく。だったらなんか皆がご存じで無い「今日本」ってものがあるんだろうなってなるもんな・・・
最後に唐突に「今日本を」って書かれたら、確かに一瞬、迷った……。
こういう積み重ねで名文ができあがるんやなって。
おぱでか長に学ぶ文章講座を思い出した ためになる
新手の半グレ系漫画のキャッチコピー?
「この先生きのこる」の話だ
ゲムぼく。氏、ふざけた内容に反していつも文章がめちゃくちゃ読みやすくて凄いなぁと思っていたけど、やっぱり細部に「読む人にとって読みやすいか?」を意識してくれてたんだなぁ…好き…chu…♡
タイトルだけ見て「まさか今の日本について何かを語るのか…?ゲムぼくさんが…?ここ数年の物価と2次元むちむち度合いの比例とか…?」とドキドキしながら開いたので、すごく納得しました。
読点大事ですね。
ついにゲムぼくも日本を買うようになったか…