住宅街を歩いていたときの、たった十数秒の話。
「車、後ろに下げてくれんかねえ」
「あっ、すみません! すぐ下げます」
老人ホームらしき施設から出てきた手押し車のおばあさんと、トラックを止めて荷物を配っていた宅配便のお兄さん。
車止めとトラックの間が狭めで、通れないようだ。
「あれ? おばあちゃん、ヒモはみ出てますよ」
トラックに戻ろうとしたお兄さんは、手押し車のささいな異変に気づいたらしい。
おそらく、収納部のフタがちゃんと閉じていなかったのだろう。ヒモがはみ出たままだと、歩行中に車輪に絡まる可能性もあるわけで、たしかに危ない。
「入れちゃいますね」
「ああ、すまんねぇ」
お兄さんは、パパッとヒモをしまってあげたようだ。
速い。手慣れている。ふだん家庭でそういうお世話をしている人なのかも。あるいは単純に、宅配便のお兄さんってみんなテキパキ動いているから、こういう行動も速いだけなのかも。
「できました」
「今日は暑いから配達も大変でしょう」
「夏よりマシですよ。おばあちゃんも、暑さ気をつけてくださいね」
「そうねぇ、がんばってねぇ」
ここまでが、合計で十数秒。
ぼくが立ち止まらず歩き続けていても一部始終が聞こえた程度の、短い交流。
その後、おばあさんは車止めとトラックの間を手押し車を押して器用に通り抜け、お兄さんはトラックの座席に戻ったのだった。
いやあ、なんかいいな。一瞬だけど「心温まる日常」を見た感じが……
ん? 待てよ。
おばあさん、まだトラックが下がっていないのに隙間を通り抜けていたが? 狭くて通れない、が発端だったはずでは?
……と思ったが、すぐに得心した。
話したかったのだ。おばあさんは。
誰でもよかったのか、そのお兄さんがよかったのかは知らないが、真のニーズは、車を下げてもらうことではなく、かまってもらうことだったのだろう。
「そんなことのために人に話しかけるな、迷惑だ」と言う人もいると思う。
正論だ。「満たされている人」の。
人は、いろいろ理屈をこねくり回すが、じつは根っこは「かまってほしい」だけのことが、よくある。
現実でも、ネット上でも、よく見る。SNSなんて、特にそうだ。
もちろん、度が過ぎると迷惑だが、誰でも満たされていないときはそうなるし、自分も絶対にどこかでそうなっているわけで、ある程度は許容していきたいよな、と思った。
なんせ、ぼくなんて、かまってほしすぎて毎日ブログを更新してるからな。許容してください。
「週末の1000字。」は、週末をより楽しくするためにお届けする、1,000字ぴったりのコラムです。












コメント
勿論、許容しますよ!!
かまってほしすぎて毎日ブログを更新してるゲムぼく。を毎日見に来てブログコメントしてる奴らもいるからな。俺らとか。
おかげさまで毎日いろんな意味で笑顔にしてもらって満たされております。
いい話
承認欲求って悪いものみたいに言われがちだけど、かまってほしい!認めてほしい!の出力次第で悪くなることもあるだけでそれそのものは別に悪じゃないからねえ
リアクションきた!嬉しい!もまた創作の大事なモチベーションのひとつだし、「自分が作りたいから作ろう!」と「リアクションがほしいな」は両立するものだから、病まない程度に承認欲求と付き合っていきたいね
色々な人に先立たれて独りで生きてる(孤独死確定)の身なので、感じ入るものがありました。
今はまだ趣味で気を紛らわせてるから平気だけど、あと10年も経つと、耐えられなくなるのだろう、と。
ネットで過激なコメントをしてかまってもらおうとする人に、自分もなってしまうかもしれないので気をつけます。
良い記事でした。
やべぇこと(最近ではネケンダリア)やったりはしてるが公序良俗には反してないからなゲムぼく
許容するよ
う〜ん切ない
老いると目がやられて文字を読むことが難しくなり、聴覚、触覚、味覚と順次衰えて行くから
一人で趣味に耽るのもいいが最低限の社会性を維持しとかんとな⋯⋯
かまってかまってかまってくれなきゃグレちゃうぞ♪
かまっておんどを思い出した自分はおじいちゃん
確かに構ってほしいよなぁ
ぼくも構ってほしすぎて毎週のようにmond送ってるけど許容してほしい
毎回申し訳ないと心の隅では思ってる
私もかまってほしくてコメントを書いている
自分が構われたい分相手のことも構うので、構ってほしい
ウザがられるラインをいつもいちいち気にしながら構ってもらおうとしています
ゲムぼく。のこと大好きだから、もっとかまってあげなくちゃ…!
普段全然コメントしませんが毎日見てます。
なんなら、19時にブログ更新されなければソワソワしてるまであります。
この例のような、あまり害の大きくない形でのかまって欲しい欲解放は悪くないのだが、こじらせると悪質なクレーマー、カスハラ、暴言絡みなどになるから私も気をつけよう。どう気をつければよいのだ?