「歴代の仮面ライダーでいちばん好きな主人公は?」と聞かれたら、ぼくは迷わず「仮面ライダーWの左翔太郎」と答える。
「なぜ?」と聞かれたら、これまた迷わず「最初から最後まで、誰よりも普通だったから」と答える。
「なぜ?」と聞かれたら、これまた迷わず「最初から最後まで、誰よりも普通だったから」と答える。
作品を知らない人のためにざっくり紹介すると、『W』は風都という町を守るライダーの物語だ。
私立探偵の左翔太郎とその相棒フィリップを主人公に、探偵事務所の所長である鳴海亜樹子、刑事で仮面ライダーアクセルでもある照井竜などを主要キャラとして、さまざまな依頼を解決していくさまが描かれる。
私立探偵の左翔太郎とその相棒フィリップを主人公に、探偵事務所の所長である鳴海亜樹子、刑事で仮面ライダーアクセルでもある照井竜などを主要キャラとして、さまざまな依頼を解決していくさまが描かれる。
フィリップは、「地球(ほし)の本棚」と呼ばれる地球の記憶(データベース)にアクセスできる天才だ。また、その出自には大きな秘密を抱えている。
亜樹子は、探偵であり父である鳴海荘吉(おやっさん)を事件で亡くし、その事務所を引き継いでいる訳ありの女の子だ。また、コメディ要素を多分に含むが、スリッパでダウジングができるなどの妙に器用な能力を持つ。
照井は、家族をドーパント(怪人)に皆殺しにされた壮絶な過去を持ち、復讐のために仮面ライダーになった。また、その強靭な意志から、精神攻撃への高い耐性を持つ。
亜樹子は、探偵であり父である鳴海荘吉(おやっさん)を事件で亡くし、その事務所を引き継いでいる訳ありの女の子だ。また、コメディ要素を多分に含むが、スリッパでダウジングができるなどの妙に器用な能力を持つ。
照井は、家族をドーパント(怪人)に皆殺しにされた壮絶な過去を持ち、復讐のために仮面ライダーになった。また、その強靭な意志から、精神攻撃への高い耐性を持つ。
対して、翔太郎はなにもない。彼だけは、特別な過去や能力を驚くほど持たない。
過去については、作中で語られていないだけの可能性はもちろんあるが、まあ普通にすくすくと風都で生まれ育ってきたんだろうな、という推測が成り立ちそうなことは、作品を観た人ならわかってもらえるだろう。
作品内の主要キャラで見比べても、他の仮面ライダー主人公と比較しても、彼はおそらく一、二を争うほど特筆すべき過去を持たない人間だ。
過去については、作中で語られていないだけの可能性はもちろんあるが、まあ普通にすくすくと風都で生まれ育ってきたんだろうな、という推測が成り立ちそうなことは、作品を観た人ならわかってもらえるだろう。
作品内の主要キャラで見比べても、他の仮面ライダー主人公と比較しても、彼はおそらく一、二を争うほど特筆すべき過去を持たない人間だ。
能力については、彼は自他ともに認める凡人である。天才的な知識もなければ妙な器用さもないし、強靱な精神力もない。途中でパワーアップしたりもしない。ただのかっこつけたがりの若者だ。
実際、考えなしに突っこみかけたところを何度もフィリップに止められたし、亜樹子には年上ぶろうとしながら一枚上手を取られてばかりだった。オールド・ドーパントの精神攻撃にはフィリップも照井も無傷なのに彼だけ見事におじいちゃんにされてしまったし、テラー・ドーパント戦でも彼だけが恐怖に打ち震えて無力と化した。フィリップの覚醒についていけず仮面ライダーWの左半身としての実力不足が露呈してしまった際には、みっともないくらいに動揺し、自信を失った。
とても正義のヒーローとは思えない場面が多々あるくらい、彼はどこまでも普通の人間だった。
実際、考えなしに突っこみかけたところを何度もフィリップに止められたし、亜樹子には年上ぶろうとしながら一枚上手を取られてばかりだった。オールド・ドーパントの精神攻撃にはフィリップも照井も無傷なのに彼だけ見事におじいちゃんにされてしまったし、テラー・ドーパント戦でも彼だけが恐怖に打ち震えて無力と化した。フィリップの覚醒についていけず仮面ライダーWの左半身としての実力不足が露呈してしまった際には、みっともないくらいに動揺し、自信を失った。
とても正義のヒーローとは思えない場面が多々あるくらい、彼はどこまでも普通の人間だった。
ただし、彼は普通に育った普通の人間であるがゆえに、まっすぐ町を愛し、まっすぐ人を信じる心を持っていた。
さまざまな黒い事件が起きるなかでも、死と隣り合わせの戦いがエスカレートしてゆくなかでも、彼の行動原理は一貫して「風都を守ること」と「依頼人を守ること」だった。フィリップや亜樹子や照井や、その他すべての登場人物が複雑な感情を抱え葛藤し変化していくなかで、彼の根っこだけは、ずっとずっとこれだけだった。
彼は町と人を守るためならいくらでも苦労したし、いくらでも傷ついた。瀕死の重傷を負うこともあったが、その後でさえ彼の根っこが揺らぐことはなかった。
さまざまな黒い事件が起きるなかでも、死と隣り合わせの戦いがエスカレートしてゆくなかでも、彼の行動原理は一貫して「風都を守ること」と「依頼人を守ること」だった。フィリップや亜樹子や照井や、その他すべての登場人物が複雑な感情を抱え葛藤し変化していくなかで、彼の根っこだけは、ずっとずっとこれだけだった。
彼は町と人を守るためならいくらでも苦労したし、いくらでも傷ついた。瀕死の重傷を負うこともあったが、その後でさえ彼の根っこが揺らぐことはなかった。
自分の育った町が好き。そこに住む人たちが好き。
ぼくも含め、おそらくほぼすべての人間が持つ、ごくごく普通の感情だ。
しかしだからこそ、ぼくたちには翔太郎のかっこよさがわかる。普通の人間が人生をかけて普通を守り続けることがどんなに難しいか、ぼくたちは身をもって知っている。
なにもかも普通な翔太郎は、おそらく「どこまでも普通を貫き通せる」というただ一点において、普通でなかった。
ぼくも含め、おそらくほぼすべての人間が持つ、ごくごく普通の感情だ。
しかしだからこそ、ぼくたちには翔太郎のかっこよさがわかる。普通の人間が人生をかけて普通を守り続けることがどんなに難しいか、ぼくたちは身をもって知っている。
なにもかも普通な翔太郎は、おそらく「どこまでも普通を貫き通せる」というただ一点において、普通でなかった。
そして、そんな彼は風都のすべての住人から愛された。
ドーパントたちは、そのほとんどが特殊能力を持つフィリップや照井を警戒し、凡人の翔太郎を軽視したが、最後にはむしろ、翔太郎の「普通」こそが彼らにとってのイレギュラーとなった。裏のラスボス的存在であったユートピア・ドーパントは、単身かつ生身の彼に敗れかけるハメになったほどだ。
さまざまな登場人物が策略や能力を用いて争うなかで、勝負を決定づける「切り札」はいつもなにも持たない翔太郎だった、というのは、この作品のもっとも痛快な点であると思う。
ドーパントたちは、そのほとんどが特殊能力を持つフィリップや照井を警戒し、凡人の翔太郎を軽視したが、最後にはむしろ、翔太郎の「普通」こそが彼らにとってのイレギュラーとなった。裏のラスボス的存在であったユートピア・ドーパントは、単身かつ生身の彼に敗れかけるハメになったほどだ。
さまざまな登場人物が策略や能力を用いて争うなかで、勝負を決定づける「切り札」はいつもなにも持たない翔太郎だった、というのは、この作品のもっとも痛快な点であると思う。
劇場版『FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』において、ガイアメモリは適合率の高い人間と引かれ合う、というような描写がある。
ほぼすべてのメモリが敵勢力に奪われていくなかで、ただひとつ、翔太郎を求めるかのように鳴海探偵事務所の壁に突き刺さっていたのが、「ジョーカー」メモリ。
ただ身体能力を強化するだけの特別でないメモリを、ただ愛する町と人を守りたいだけの特別でない翔太郎が装着し、彼は名実ともに風都を救う特別な「切り札」、仮面ライダージョーカーとなった。
ほぼすべてのメモリが敵勢力に奪われていくなかで、ただひとつ、翔太郎を求めるかのように鳴海探偵事務所の壁に突き刺さっていたのが、「ジョーカー」メモリ。
ただ身体能力を強化するだけの特別でないメモリを、ただ愛する町と人を守りたいだけの特別でない翔太郎が装着し、彼は名実ともに風都を救う特別な「切り札」、仮面ライダージョーカーとなった。
「さあ、お前の罪を数えろ!」
仮面ライダーW(ダブル) FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリを観る | Prime Video
風都に突然ばらまかれた“A~Z”、26個の次世代ガイアメモリ。そして突如現れた、凶悪な犯罪者たち。彼らの正体は?。一方、フィリップはマリアという謎めいた女性に、母の面影を見る。風都を、そして仮面ライダーを襲う最大の危機。恐るべき敵の野望から、Wは、アクセルは、風都の人々を救うことができるのだろうか!?巨大な陰謀が渦巻く...
コメント
風都探偵(スピリッツ連載中)もよろしく。
…というか風都探偵が後日談物だったのは、
この記事で調べて初めて知りました(ライダー知らないため)。
W大好きおじさんの私はこの記事に大変感銘を受けました。
友人とのライダー談義の際はこの記事を紹介させて頂きます。
お前の体脂肪率を数えろ!
ユートピア戦はライダーの歴史のなかでも屈指の出来。
200%同意です。
ハーフボイルドなところが翔太郎の魅力、普通の翔太郎が居たからこそ仮面ライダーWという作品に感情移入が出来た最大の理由だと思います
番組を見ているうちに、いつの間にか翔太郎と自分を重ねていました。おやっさんが残した「誰も完璧な者はいない」って意味のメモを見て精神攻撃から立ち直る描写は何度見ても泣けます
もう何度も何度も見たWですが、また風都に帰りたくなりました。こんな心に響くことを書くゲムぽく。さんの罪を数えろ!
ロストヒーローズでしか知らなかったけど観たくなるいい記事でした
やだ、かっこいい!
ブラックRXの光太郎と同じくらい好き
アイギスのネタ記事見に来たのに…
大戦COREの小学生しょうたろーも普通にモブしてて好き
ここからどうしてムチムチドーパントになったんだ
何をどう食ったらここからドスケベマキシマムドライブするんだよ。
初めてコメントします。いつも楽しく記事を読ませてもらってます。
左翔太郎ほど泥臭い主人公っていないと思うんですよね。特筆した力があるわけでも、能力値が高いわけでもない。普通に傷つくし折れそうになることもある。だけどそれでも、何度でも立ち上がるし、足掻きながらでも前に進む。自分の胸にある「想い」のままに。
翔太郎の求めたハードボイルドではなかったかもしれませんが、彼は紛れもなく「カッコいいヒーロー」でした。
素晴らしい記事をありがとうございます。本当にいつものムチムチの人ですか?
どうしたの?
どうしたんだよ…いつもの激シコムチムチゴン太ペンギンとか太腿でスイカ割れそうなニケランキングとかいつものゲムぼくに戻ってくれよ…
全くもって同意です。
僕も仮面ライダーシリーズの登場人物で翔太郎が一番好きです。
ゲムぼく。実はムチムチの本棚にアクセスできる下半身と文才のある上半身で2人で1人なのでは?
この記事を見てWを見たくなってしまった。
次はオーズをすこれ!
ムチムチとの温度差で風邪引くわ
物語を観れば観るほど好きになる、典型的な素晴らしい主人公だった
仮面ライダーWはかなり好きなので、
これには好感が持てました。
まぁ明日あたりにはドスケベ記事によって、
その気持ちが錯覚だったと思う気がしますが。
急にどうしたの……
仮面ライダーWは自分がライダーを好きになった切っ掛けの作品
一番好きなのはもちろん照井竜
翔太郎がジョーカーメモリ構えてるのほんとかっこいい 人間味もあるからライダー主人公で1番好きかなぁ
W……いいよね……
どう見てもまともでないムチモモドスケベ狂いが普通を語る図、何?
こういう真面目な記事も書けるのがゲムぼくさんの良いところだな
反動でどんなムチムチが出てくるか楽しみでもある
ジョーカーメモリが事務所にあったところ、風都が風都を守る「切り札」として翔太郎を認めてるんやなって胸も下半身も熱くなっちまったね
泣いた
いつものゲムぼく。さんとは違ったのでビックリしましたが
仮面ライダーW 左翔太郎
良いですよね…!
私は感情の溢れすぎてしまうオタクなので
言語化が上手くできないのですが
ゲムぼく。さんの文章力には本当に惚れ惚れします!
左翔太郎の魅力がこれでもか!と表現されていて
改めて自分も翔太郎が
仮面ライダージョーカーが
風都に生きる仮面ライダーWが
大好きなんだなと感じました。
機会があればゲムぼく。さんの他のライダーに関する記事も見てみたいですね
ムチムチライダー オティンティンさん
うわぁ!急に真面目な記事を上げるな!
翔太郎への愛を強く感じられた良い記事でした。またライダー記事お願いします。
この人ネタ抜きにこんな素晴らしい文章書けるのか…
なんで自分が翔太郎好きなのか分かってなかったけど言語化してもらった感じがあってほんと嬉しい