「家族だから」の呪縛が崩壊を招いた話。

 「家族だから」に続く言葉があるとしたら、なにを思い浮かべるだろうか。

 ぼくは「大切にすべき」を、妻は「何をしてもいい」を思い浮かべる人だった。

 おそらく、これはどちらも正しいし、どちらも正しくない。
 たとえばDVに遭っている人に「耐えなよ、家族だから大切にすべきだよ」と説くのは明らかに間違っているし、DVをしている人に「そうだよ、家族だから何をしてもいいんだよ」と応援するのもおかしな話だ。
 状況によって正解は変わる。いや、そもそも正解なんてあるのか?
 強いて言うなら、「家族だからとか家族じゃないからとか関係なく、人は人として接すべき」みたいなことが正解に近いのかもしれない。

 ぼくは、つねにポジティブであろうとした。ホメや感謝が人を動かせると思っていた。ご近所さんにも妻本人にも、妻がいかにいい妻か、ということを伝え、自慢していた。愛妻家、と言ってよかったと思う。
 妻は、逆だった。ぼくにはネガティブな言葉を浴びせ、ご近所さんにはぼくがいかにダメな夫かを伝え、私がいないとホントにダメなんですよね、と言って回るのがお決まりだっていた。よく言えば、「ダメ亭主の尻を叩くしっかり者」をやろうとしていた。
 実態は、仕事も家事も育児もすべてぼくのほうが負担割合が過度に大きかったのだが。誰もが、妻自身すら認めるレベルで。妻はいつもスプラトゥーン2をやるか自分の服を買うかしていた。

 で、この場合、ポジティブとネガティブが戦うとネガティブが勝つ。
 だって、ぼくは妻のネガティブを否定しないし、妻はぼくのポジティブを否定しないから。ご近所さんからすると、ふたりの言葉をそのまま受け取れば「すばらしい妻とダメな夫」にしかならないのだ。誰もそれを否定しないんだから、それを実態として受け取るほかない。

 なにをやっても怒られ、罵られる。悪く言われる。周りからもダメな人として見られる。
 もっと大切にしなきゃ。もっと身を削って、もっとがんばって、もっと妻をホメるんだ。そうすればきっと……
 それでも、さらに怒られ、罵られる。嘲笑される。じゃあ、もっともっとすべてを……

 そんな生活が何年も続いた。半年前、ついに閾値を超えてしまったようで、ぼくは急に壊れた。
 家に近づけば足がすくみ、妻の足音を聞くだけで涙が出て、家で食事をすれば吐くようになった。
 自分で買った家に、いることができなくなってしまった。こんな自分になるなんて想像しなかった。想像できていたら家なんか買わなかった。

 自分から家を出て、でも、住宅ローンは全額、養育費も可能な限り高額を払い続けることを申し出た。子どもと会うたび、たいした額じゃないけれど、なるべくお菓子やおもちゃも買っている。いつもよりいい食材を買って料理している。
 子どもたちのためなら自分のお金なんて本気でいらないし、ぼくが家を出ることになったのは、ぼく自身が負荷に耐えきれなかった弱さのせいもあるからだ。
 ある種の贖罪だ。とても傲慢だと思う。耐えきれなくて潰れたくせに、お金ごときで、なんかやってる気になろうとして。

 たぶん、ご近所では「あそこのダメな夫がついに出ていったらしい。奥さん大変ね」となっているんだろうな。
 まあ、いいんだ。ぼくはもう、そういうのはいいんだ。そういうのは、言いたい人が好きに言えばいい。ぼくの世間体なんてもともとないようなもんだから、それで妻や子どもの世間体が保たれるなら、いいのだ。

 ただ、ひとつだけ言えるとしたら。言っていいとしたら。
 「家族だから」に続く言葉が似ている人にパートナーになってもらったほうが、長くうまくいく確率は高いのかもしれないな、と思う。
 特に、ポジティブはネガティブに負けてしまうから、ポジティブでありたい側の人は気をつけてみてほしい。

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コメント

  1. 名無しのゲーマー より:

    泣いた

  2. 名無しのゲーマー より:

    イチジク浣腸してる夫を褒めるのちょっと難しい部分ない?

  3. 名無しのゲーマー より:

    この話が本当でも嘘でも関係ない。心に響いたぜ

  4. 名無しのゲーマー より:

    お疲れ様です。これからはもっと自分勝手に生きましょう。ご自愛ください。

  5. 名無しのゲーマー より:

    モラハラと言われても仕方がない環境ですね、本当に大変だったと思います。
    今も生活面で色々不便もあり大変かもしれませんがご無理をなさらぬように、
    お体を大切にお過ごしください。

    ふざけないといけない気もするのでうんこちんちん

  6. 名無しのゲーマー より:

    あんまりカツカツで生活しているといつか病気になったり収入が減った時に
    子供への責任感とままならない現実との板挟みになって詰みそうで普通に怖い

    だからこそ、欲しいイチジク浣腸があれば遠慮なく欲しいものリストに入れてほしいね

  7. 名無しのゲーマー より:

    いい人でありすぎちゃったんだね
    でもね関係を保つ為にはしっかり指摘することも必要なんじゃないかな
    そういうのは面倒だし苦手もあるのかもしれないけど子供たちが心配なんだよね

  8. 名無しのゲーマー より:

    抜いた
    おっと悲し過ぎて字を間違えちまった
    泣いた

    ゲムぼくさんの話を見てて、なんでこれで親権とれないのか不思議なんだけどって事と理由が知れてスッキリした。色んな事を考えてしまってたので。

    書いてて辛かったと思うけどありがとう。応援してる。

  9. 名無しのゲーマー より:

    時々こうやって心の闇を吐き出さないと潰れちゃうんだろうな
    大丈夫、ここ見てる人はみんなアンタの味方だよ
    気が済むまで弱音吐いて、また明日からイチジク浣腸とおちんちんと激カワ行き遅れババアの話しようぜ
    ボウライダー二覚でサラサが微妙な強化もらうのを楽しみに生きるんだ!

  10. 名無しのゲーマー より:

    冬場に全裸で外に追い出されたら誰だって風邪を引くでしょ?
    人類みんな弱いんですよ。
    だからね、自分の弱さをあまり責めないであげて。
    暖かくして病院に行くのがいいのですよ。
    (既に精神科や心療内科を受診されているなら申し訳ございません)
    (浣腸をやり過ぎると便秘になりやすくなるようなので程々にしましょう)

  11. 名無しのゲーマー より:

    だから奥さんを常に褒めていたのか

    多分周りも薄々分かってるよ
    ポジティブなことを言う人には好意を
    ネガティブなことを言う人には不快感を抱くらしいからね 他人の悪口言うと、それが本当でも言ったやつも悪く見られる

    ところでサラサの二覚楽しみですね おちんちんびろーん!

  12. 名無しのゲーマー より:

    アイギスの寝室話で勃ったちんちんが一瞬のうちにしぼみました

    アレだ
    今後日本の男性は海のリハクさんに土下座して結婚する前に結婚生活がどうなるか見通してもらうのがいいのではないか

  13. 名無しのゲーマー より:

    そりゃ、壊れるって。
    ロボじゃないし。

    愛は与えるものって言う人も居るけどアレって嘘ですよ。

    与えるだけだとふつーに枯れる。
    無限に湧くものなんて無いんだから。

  14. 名無しのゲーマー より:

    愛は与えるものだと思うよ
    ただ、愛を奪う者を愛してはならない
    与えあって循環させないと幸せにはなれない

  15. 名無しのゲーマー より:

    家族って逃げ場がないからな。今の行政ってモラハラ、DVで女性が駆け込み逃げ出す仕組みはあっても、男性が逃げ出す仕組みは未整備だ。なんにせよ自力で逃げ出せてよかったな。

  16. 名無しのゲーマー より:

    今すぐには難しいと思うけれど
    今度はお互いにお互いを褒めあえる人が見つかるといいね
    お子さんたちが大きくなるまで難しいだろうけど
    イチジク浣腸を互いにぶち込みあえるパートナーが見つかるといいね

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