実況パワフルプロ野球と、我が光と闇。

 友達の家でやった『実況パワフルプロ野球6』。
 横浜は強いから卑怯だぞとか、こっちは初心者なんだから手加減して阪神か広島を使えとか、けっきょく十字キーとアナログスティックはどっちがいいんだとか、っていうかこのスティック白い粉が出すぎじゃないかとか言いながら、カブトガニみたいなコントローラーを握りしめたぼくたちは対戦に明け暮れた。
 それが、ぼくと『パワプロ』の出会いだった。

 約1年後、プレイステーションで『パワプロ99決定版』が出た。
 ニンテンドウ64を持っていなくても、パワプロができる。飛びついた。その年の誕生日プレゼントは迷わなかった。
 これで、いつでも対戦ができる。毎日のように、友達を呼んで……

 友達?

 いなかった。
 たった1年のあいだに、ぼくは友達と呼べる人をすべて失っていた。
 環境の変化とか、いじめ的なこととか、まあ、いろいろあった。

 しかし、パワプロは違う形で期待に応えてくれた。
 『サクセスモード』だ。
 ぼくはこれにドハマリした。1日に3人も4人も選手を作った。ファミ通の攻略記事を穴が開くほど読んだ。冥球島の攻略チャートをノートに自作した。生まれて初めて徹夜した。
 サクセスが楽しすぎたのか、ぼくがもともとポジティブなのか、友達がいない事実に悩むことはまったくなくなっていた。

 それから毎年、ぼくはパワプロの新作を買い続けた。
 目当てはもちろん、サクセス。ぼくにとってパワプロの歴史は、サクセスの歴史だ。
 ちなみに、8のドラフ島と、9の恋恋高校が特に好きだ。2001のサクセスロードも地味に好きだ。

 大学時代は特に重症で、発売前日にインスタント食品を買い込み、発売から1週間は自主休講して引きこもった。起動後すぐサクセスモードを選び、次々と選手を作り、誰よりも早くオールA育成理論を2ちゃんねるや攻略サイトにアップすることにこだわった。最速の座は3年くらい保持したと思う。
 いまでも過去のタイトルで検索すると、まだペンネームを持たない名無しのぼくが上げた育成理論がちらほら出てきて、うひゃあ、となる。
 おおげさでなく、サクセスはぼくの人生の一部だった。
 

 2019年6月27日、ニンテンドースイッチ『実況パワフルプロ野球』発売。我が家はちょっと遅れて、7月中旬に買った。

 スイッチ初のパワプロは、ぼくにとっては『2016』以来のパワプロだ。ちょっとひさびさ。
 昔とはまた生活が変わり、ゲームより子育てのほうが楽しくなってしまったので、パワプロからは少し遠ざかっていた。
 しかし、子どもたちが動画で興味を持ち「やってみたい!」と言ってきた。大好きな子どもと大好きなゲームを一緒に遊べるとなれば、それはもう、買わない理由がない。

 ゲームカードを入れ、起動。
 耳慣れた「実況!パワフルプロ野球!」のタイトルコールが気持ちよい。

 そして、最初に選んだモードは……『対戦』。
 スイッチのパワプロは、対戦を含む多くのモードを最大4人で遊ぶことができる。
 たとえば対戦なら、攻撃時は順番に打ち、守備時は担当ポジションを決めることで、ひとつのチームを協力して複数人で動かせるのだ。しかも、ロックオンやオート守備走塁の設定は個人ごとに決められるから、ひとつのチームに初心者と上級者が入り混じっても大丈夫。

 さっそく家族で試合をしてみた。
 1試合が終われば誰かが「もう1回!」と言い、2試合目が終わればまた誰かが「もう1回!」と言い、気づけば1時間が経っていた。

 20年ぶりの感覚だ。
 対戦って、こんなに楽しかったのか。
 そういえばパワプロって、サクセスはもちろんだけど、対戦も楽しいゲームだったんだな。
 ナンバリングではない『実況パワフルプロ野球』というタイトルで原点回帰を図ったこのパワプロは、偶然、ぼくにとっても原点回帰のパワプロになった。

 友達と対戦に明け暮れたときも、黙々とサクセスに打ち込んでいたときも楽しかったが、20年経ったいまがいちばん楽しい。
 そう自信を持って言えることは、けっこう幸せなことだよな、と思う。

コメント

  1. 風吹けば名無し より:

    なんかさ、いろいろなことがあったんだね
    そんなゲムがさ、今幸せなことを俺は嬉しく思うよ
    涙出てきちゃったな
    あと奥さん2週間くらい貸してくれよ

  2. 名無しのゲーマー より:

    オチが……ない!?

    冥球島、懐かしすぎて涙でそう
    個人的にはプロ球団よりキューバのほうが難しかった

  3. 名無しのゲーマー より:

    ハチナイ推してるし結構野球好き?

  4. 名無しのゲーム より:

    いい話や!

  5. 名無しのゲーマー より:

    闇の青春シリーズかな?

  6. 名無しのゲーマー より:

    自分も6が初めてでしたね
    当時のイチローがパワーBで他がallAだったのは多分一生忘れない
    そして、一緒にプレイした友達が卒業式の後になにも言わずに引っ越したことも一生忘れられないよ

  7. 名無しのゲーマー より:

    こんな真面目な記事だと案件ボーイが出てくるぞ

  8. 名無しのゲーマー より:

    98年のマシンガン打線の時か。あれから20年以上も経ったのか…信じられん

  9. 名無しのゲーマー より:

    ちょいちょい闇を見せるよね
    俺が巨乳マフィントップ熟女だったらしっぽり慰めた後で樹村家の愛人になって一緒にパワプロするのに

  10. 名無しのゲーマー より:

    あんな育成論かいてた人が結婚して子育てしてるってホントですか

  11. 名無しのゲーマー より:

    (´Д⊂グスン

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